北朝鮮をめぐる、中国の苦悩と日本の無策 緊迫・北朝鮮ミサイル発射前夜?

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なぜ旧社会主義諸国と違い、北朝鮮だけ逆行できるのか

今回も緊張感が高まっているが、別に初めてのことでもなく、過去何度も繰り返されてきたことである。実際、当事者の韓国人は大して話題にしておらず、ここだけの話、“またか”くらいに思っている人が多い。

確かに過去数十年間、毎日のように「米帝の毒まんじゅうを食べた傀儡政権の南朝鮮は、24時間以内に火の海に包まれ、共和国による無慈悲な報復攻撃の鉄槌を下す……」うんぬんのメッセージを受けていると、「おいおい、また言っているよ」くらいに感覚もマヒするというものである。

実際ソウルの友人2人に今の空気を聞いたが、いつもと変わらず気にも留めてなかった。(ただし「反応が薄過ぎる」と北朝鮮が判断すれば、より過激にエスカレートする可能性があるので、「一応慌てふためいておいた方がいい」という友人もいたが……)

ロシア人に話を聞いてみたところ、北朝鮮問題よりシリア情勢のほうがロシアには喫緊の課題なので、それほど北朝鮮問題は大々的に取り上げられてないらしい。

レバノン人やイタリア人をはじめ諸外国の友人は、「人が餓死しているのにミサイルなんて、何を考えているんだ」という一般的な反応をしている。なにせ海外メディアでの騒がれぶりは韓国や日本のそれをはるかに上回るレベルで、“今にも戦争が始まろうとしている”と言わんばかりの心配ぶりだ。そして“ロシアや東欧、中国が資本主義化したのに、なぜ北朝鮮だけ体制が変わらず継続できているのか”と質問してくる。

確かに、時代の趨勢に長年逆行して独自の路線を進む北朝鮮は極めて不思議な展開を見せてきた。ロシアや中国といった社会主義・共産主義の親分が変化し、子分扱いだった東欧の国々も民主化したのに、なぜ“孫”みたいな位置づけだった北朝鮮だけ逆方向に進むことができているのだろうか。

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