石破茂氏、「寄らば大樹という言葉は嫌いだ」 本当のことを言わなければ政治家ではない
石破:率直に語らねばならないことはいろいろあります。今回のリオ五輪でも、活躍した選手の中には、多様な民族的背景の方々がたくさんいました。大相撲でも外国人力士が活躍しています。日本政府の責任で日本語や文化やルールを教え、疎外感を覚えることのないようなシステムを作ったうえで、「外国生まれの日本人」を増やすような考え方があってもいいのではないでしょうか。
人口減少問題では、全国で合計特殊出生率トップ(2.81)の鹿児島・徳之島の伊仙町のケースが参考になります。大久保明町長は医師でもあるのですが、町の財政を建て直すために全部の集落を回って、現状を説明したそうです。
そうしたら、高齢者の方々が「敬老会の祝い金はいらない。バスの優待券もいらない。どうか若い世代のためにおカネを使ってくれ」と言ってくれて、財政を再建できたのです。シルバー民主主義といわれていますが、私は率直に国民に説明すれば、国民はわかってくれると思います。強い政府とは、こうしたことを率直に語るためにあるはずです。
「雉も鳴かずば」「寄らば大樹」でいいのか
有馬:現在の自民党では、事実上安倍首相の「一極支配」が続き、自由な議論がしにくい状況と言われています。本来の自民党の姿からは、ほど遠い姿といわざるを得ません。
石破:私は小選挙区を推進してきた側ですが、小選挙区が定着したことで、公認を含め党が人事をすべて握る形になってしまったことは否めません。一方、議員は皆努力しているのだから、それなりのポストが欲しい。そうすると、言いたいことも控えてしまう、ということになりかねません。
私は小泉元首相に見いだしてもらい、幸運でした。私は「雉も鳴かずば撃たれまい」とか「寄らば大樹の陰」という言葉が大嫌いです。今、党内の主流に乗っていれば、それは心地がよいかもしれません。しかし、それは少なくとも自分のやることではないと思っています。ごまかさず、言わなければならないことは率直に申し上げるべきだと、自分に言い聞かせています。
(撮影:今井康一、構成:福井 純)
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