安倍改造内閣は「政策推進力」が弱まっている 派閥領袖を揃えて「守り」を固めたが…
安倍晋三首相は8月3日に自民党役員人事と内閣改造を行い、経済再生を進めるための新布陣だと強調した。人事には権力者の意思が透けて見える。自民党総裁任期切れまで残り2年となる中で、政策の実行とともに衆議院解散・総選挙のタイミングをどう計るか。安倍政権の今後を占ってみよう。
今回の人事には三つの特徴がある。
第一に、石破茂前地方創生相が閣外に去ったことだ。石破氏は2012年の自民党総裁選で安倍氏との接戦の末に敗れた。幹事長、地方創生相を歴任したが、今回は入閣を拒否。安倍首相の総裁任期が2018年9月に切れるのを見据えて、地方行脚など総裁選への準備を進める考えだ。同じく次期総裁選で立候補が取りざたされている岸田文雄外相は留任したが、安倍首相との対抗心を見せる石破氏に引っ張られる形で、安倍氏との距離を広げていくという見方が出ている。
安倍首相の総裁任期延長には高いハードル
安倍首相の総裁任期3年が過ぎた2015年9月は、野田聖子元総務会長が総裁選に意欲を見せたが、推薦人20人を集めることができずに立候補を断念。安倍氏が無投票で再選された。自民党の規程では総裁任期は2期6年と定められており、規定が改められない限り、2018年9月の総裁選は、新総裁選出のためのものとなる。自民党内では、新たに幹事長に就いた二階俊博氏が任期延長の検討を口にしているが、党内では「次の総選挙の結果次第」(派閥領袖の一人)というのが大方の見方だ。
ちなみに、次の総選挙は自民党にとって楽な戦いではない。前回2014年の総選挙で自民党は291議席を獲得する大勝。その議席を維持するのは容易ではない。さらに、前回は野党陣営が民主(現・民進)、維新、共産などに分かれて戦ったが、その後、維新の多くは民主党に合流して民進党が結成された。さらに民進、共産両党などの選挙協力も参院選で実現。総選挙でも野党共闘は続くとみられ、自民党にとっては脅威だ。解散・総選挙での勝利から総裁任期延長をにらむ安倍首相の先行きは平坦ではない。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら