安倍改造内閣は「政策推進力」が弱まっている

派閥領袖を揃えて「守り」を固めたが…

第二に、今回の人事では、派閥領袖の多くを党役員、閣僚に据えて取り込みを図った。党では二階俊博幹事長、細田博之総務会長、閣僚では留任した麻生太郎副総理・財務相、岸田外相、石原伸晃経済再生相がそれぞれ派閥を率いている。今後の党運営や総裁任期の延長をにらんで、党内の「総主流体制」をめざしているのだろう。

だが、閣内を去った石破氏のほか、岸田外相、額賀派会長の額賀福志郎氏といった非主流の派閥領袖は徐々に安倍政権との距離を広げていく可能性がある。経済などで成果が出ないようだと、党内の首相批判が膨らんでくるだろう。

「働き方改革」などの推進力を欠く

第三に、政策を推し進める力強さが欠けている点を指摘しなければならない。

安倍首相はアベノミクスの金融緩和、財政出動、成長戦略の路線を進めていく考えだ。加えて「働き方改革」を掲げ、担当相には加藤勝信・一億総活躍相を兼務させた。

だが、日銀による金融緩和はすでに限界が見え始めている。財政出動は今年度の補正予算案などで繰り返されるが、国の借金が膨らむ中で、旧来型の財政出動は不安視されている。成長戦略の柱である構造改革はいっこうに成果を見せず、安倍首相が宣言していた「規制の岩盤を打ち砕くドリルになる」という方針も、政策として実を結んでいないのが現状だ。

働き方改革も、政府関係者よれば、長時間労働の規制などは現行制度でかなりの改善ができるのに、企業側への配慮から政府の対応が鈍くなっているという。成長戦略や働き方改革など、担当閣僚の指導力で進められる点は多いのだが、現実には自民党や経済界、官僚の壁を突き崩せていない。今回の改造でも、改革推進体制が強まったとは言えない。安倍首相や菅義偉官房長官ら官邸側が閣僚の尻をたたいて改革を推進できるかどうかが問われることになる。

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