安倍改造内閣は「政策推進力」が弱まっている

派閥領袖を揃えて「守り」を固めたが…

一方、憲法改正問題について考えてみよう。

参院選では、自民、公明の与党に加え、おおさか維新の会など「改憲勢力」が3分の2を獲得したことが大きく報じられた。それ自体は誤りではないが、「改憲」といっても、各党によって取り組み方に大きな隔たりがある。とりわけ、公明党は自民党のめざす国防軍などの創設を含めた9条の改正には極めて慎重だ。憲法論議は衆参両院の憲法審査会で始まることになるが、テーマの絞り方などでかなりの時間がかかると見られ、本格的な改正論議は先のことになるだろう。

天皇の「お言葉」受け、皇室典範の見直し優先

安倍首相は参院選で、憲法改正を前面に訴えることを避けた。公明党も「首相は行政府の長だから、憲法遵守義務がある」(山口那津男代表)と、首相が改憲の先頭に立つことには反対だ。そのため、当面は改憲が政権の旗印になることはないだろう。なお、生前退位をめぐる8月8日の天皇陛下の「お言葉」を受けて、政府・与党は今後、皇室典範の見直しなどに着手するが、この問題を優先させることで、憲法改正論議が後回しになる可能性も十分考えられる。

以上、政権の今後について占ってみた。

政権の消長を占う要因としてはさらに、経済と野党の動向があげられる。アベノミクスを押し進めても、経済再生は進まず、格差の拡大、社会保障への不信による将来不安などが収まらなければ、政権への批判は徐々に膨らむ。野党がその受け皿になってくれば、批判勢力は勢いづくことになる。

参院選と内閣改造を終えて意気揚々と見える安倍首相だが、政権の行方には暗雲も立ちこめている。

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