ローソン・スリーエフ始動の背後に迫る危機 連続赤字のスリーエフ、来期債務超過の懸念

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今回、スリーエフはローソンとの提携に踏み切ったわけだが、取り組んでいるのは共同ブランドの開発だけではない。スリーエフは店舗の権利義務を次々とローソンに譲渡している。6月末に関東圏のスリーエフ12店の権利義務の一部を約3.7億円で、9月7日には同13店の権利義務の一部を約4億円で、ローソンに譲渡した。これら計25店は順次ローソンへ看板替えをする。

さらに同じ9月7日には、今回のダブルブランド店へ転換する86店の権利義務の一部を29.2億円でローソンに譲った。スリーエフとしては、全店舗の約4分の1に及ぶ看板替えを受け入れる一方で、計36億円強のキャッシュを手にする。

債務超過に陥るリスク

実は、スリーエフが苦しんでいるのは既存店の動向だけではない。本業の苦戦により、財務面でも窮地に立たされているのだ。前2016年2月期末の純資産は14.5億円。今2017年2月期の最終損益の会社計画は12.5億円の赤字なので、今期末の純資産は2億円程度まで減りかねない。来2018年2月期も数億円以上の赤字が続いてしまうと、資本増強の手を打たないかぎり、債務超過となるリスクも否定できない。

「ローソン・スリーエフ」の開業を知らせる「のぼり」には「ローソン」のロゴだけが入っている

仮に債務超過に陥った場合、1年以内に解消できなければ、東京証券取引所の上場廃止基準に抵触してしまう。

今回、店舗の権利譲渡でキャッシュを得たが、これも急場をしのいだだけに過ぎない。スリーエフの既存店売り上げが回復しないかぎり、「苦境から脱した」とは言い切れないのだ。

スリーエフの山口社長は、ローソンのさらなる出資について「現状では考えていない」と話す。が、スリーエフの売り上げや財務に改善の兆しが見られないときは、さらなるローソンの救済が必要となるかもしれない。いずれにせよ、スリーエフにとっては当面、茨の道が続きそうだ。

又吉 龍吾 東洋経済 記者

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またよし りゅうご / Ryugo Matayoshi

2011年4月に東洋経済新報社入社。これまで小売り(主にコンビニ)、外食、自動車などの業界を担当。現在は統括編集部で企業記事の編集に従事する傍ら、外食業界(主に回転ずし)を担当。趣味はスポーツ観戦(野球、プロレス、ボートレース)と将棋。

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