ローソン・スリーエフ始動の背後に迫る危機 連続赤字のスリーエフ、来期債務超過の懸念
ローソンとスリーエフは、2015年8月に提携に向けた協議を開始し、2016年4月に資本業務提携契約を結んだ。スリーエフの発行済み株式の5%をロー ソンが取得したほか、ダブルブランド店の展開を目的とする共同出資会社を9月に設立した。今後は11月末にかけて千葉県と埼玉県のスリーエフの既存店約 90店をダブルブランド店「ローソン・スリーエフ」へ転換していく。
ローソンの竹増貞信社長はダブルブランド1号店の開店に際し、「これからもお互いの力を合わせて、1足す1を2にするのではなく、3にも4にも5にも6にもしていく」と述べた。一方、スリーエフの山口浩志社長は「ローソン・スリーエフは2つの企業を結ぶ架け橋。この橋を強く高くすることで、われわれも、もっと強い会社になって、ローソンの首都圏戦略の一助となれるよう努力していく」と力強く語った。
山口社長がここまでローソンとの関係を深める背景には、スリーエフの業績が崖っ縁に追い込まれているという現状もある。
2016年度第1四半期(3~5月期)の営業総収入は45億円(前年同期比7%減)、営業損益は2.4億円の赤字(前年同期は1.0億円の赤字)と落ち込んだ。
事業継続に黄信号
苦戦している理由は、セブン-イレブンをはじめとする大手競合との競争が激化しているからだ。特に近年は、スリーエフの中でも比較的売り上げの大きい主力店舗の近隣に、大手の出店が相次いだ。強みの一つである生鮮食品の拡充などで挽回を図ったが、結果がついてこない。2015年5月から直近の2016年7月まで、15カ月連続で既存店客数は前年割れとなっている。
2016年2月期の営業損益は8.8億円の赤字(2015年2月期は3.5億円の赤字)と、2期連続の営業赤字に陥ってしまった。その結果、2016年2月期末の決算短信から、企業としての事業継続に黄信号が灯ったことを意味する、「継続企業の前提に関する重要事象」が記載されることとなった。
もともとスリーエフは、商品の共同開発実績がある、ファミリーマートへの傘下入りが流通業界内で有力視されていた。が、ローソンと手を組んだのは、スリーエフが主張する経営の独立性と看板を維持できるという側面が大きかった。
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