ミスの多い人がわかっていない集中力の本質 散漫になりがちな注意力も上げられる

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一度手間をかけてチェックリストを作ってしまえば、それ以降は頭を使う必要がありません。仕事の効率はさらに上がるでしょう。いまの職場にそうしたチェックリストがないとしても、自分なりのチェックリストを作って日々の業務で活用することを強く推奨します。

非常に原始的ですし、まるで遠足のしおりを作っているような気分になるかもしれませんが、効果は絶大です。たった1回リストを作る手間をかけるだけでその後、永続的に効果があるならやらないほうが損です。

もし自分だけによるチェックだと甘いと感じるのであれば、同僚を巻き込んで2人以上の目で確認するようにすればいいでしょうし(ダブルチェック)、そうした提案は上司も喜んで聞いてくれるはずです。

また、仕事術の定番、TO DOリストもアテンションミスを防ぐために有効です。その目的は2つ。「何をすべきかを思い出すため」と「自分の進捗具合を可視化するため」です。

とくにアテンションミスに絡んでくるのが前者で、TO DOリストを作ってしまえば1つの仕事に取り掛かった瞬間から、リストに書かれたほかの仕事のことはいったん忘れていいのです。まさに注意力の節約です。

また、進捗を可視化することで「いっぱい仕事があるなぁ。終わるかなぁ」といった不必要な心配ごとが軽減されます。

注意の方向を変える

先ほど文字のチェックは読み直しをすればいいと書きましたが、長文になると1回読み直してもすべての誤字脱字が見つけられるわけではありません。

私は出版社に勤務していたとき誤字脱字をチェックする校正も経験しましたが、はじめて校正をしたゲラを上司に渡したとき、「お前、本当に読んだのか! !」と怒られた経験があります。気合を入れてチェックしたつもりでしたが、かなりの誤字脱字を見落としていたのです。正直ショックでしたが、それ以上に「なぜ?」と驚きました。適当に読んだつもりなどなかったからです。

その後、校正作業を繰り返していくなかで、校正で求められる注意力と、日ごろプライベートで本を読むときに使う注意力では、根本的に違うことがわかりました。

注意の矛先が違うのです。

普段本を読むときはその内容を理解しようと思って読んでいるわけで、誤字脱字を探しているわけではありません。脳がこの読書モードにあるときは、たとえ誤字脱字があっても脳が勝手に補正(正しい文字に変換)してしまうのです。このモードで校正をしても間違いに気づくわけがありません。

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