ミスの多い人がわかっていない集中力の本質 散漫になりがちな注意力も上げられる

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数年前にベストセラーになった『ゼロ秒思考』(ダイヤモンド社)という本があります。元マッキンゼーのコンサルタントだった赤羽雄二さんの著書で、一瞬で答えが出るようになる方法を書いたものです。

その方法というのが非常にシンプルなものでした。白紙のA4の紙(何かの裏紙がおすすめだそうです)を用意して、とにかく気になることを書き出す。基本はこれだけです。

そしてたしかにこれは効果的なのです。

なぜかというと、注意力を支配している心配事や関心事を書き出すことで、それらを手放すことができるからです。結果、余裕を生み出し、情報の処理や思考が効率的にできるようになります。

もちろん、書き出したからといって完全に頭から消え去るわけではありませんが、少なくとも負担は減らすことはできます。

見直す癖をつける

アテンションミスは完全になくすことはできません。われわれの脳の仕組み、注意の限界から、根絶することは人間であるかぎり無理です。

しかし一方で、そのミスを仕事に影響を与えるミスにしないことが求められます。

だとすれば、アテンションミスが起きることを前提に考え、そのミスが被害を出さないように食い止める「セーフティネット」をあらかじめ考えておくことが重要です。

そのセーフティネットの最たるものが、会社ではおなじみのチェック作業です。

とくに新人のころは報告書なり見積書なりの成果物を上司に見せるとき、「ちゃんとチェックしたか?」と口すっぱく言われるでしょう。チェック作業は仕事の基本中の基本だからです(上司があとになって間違いを指摘するのが面倒だという側面もありますが)。

このチェック作業を明文化したものがチェックリストです。品質と安全が第一の製造業や建築業などに携わる人はチェックリストを日々使っていると思います。

究極の例が航空機のパイロット。アテンションミスが生死に直結する仕事ですから、どれだけベテランの機長であっても膨大なチェックリストに沿って仕事をこなしています。

チェックリストはどんな仕事にあっても非常に有効です。

たしかに経験を積めば「前回あれを忘れたから気をつけよう」「ここはミスしやすい箇所だな」などと注意を割くべきポイントがわかるようになってきますし、それがベテランの存在価値でもあるのですが、そうかといって毎回記憶に頼っているようではあまりに非効率です。また、思い出すという行為がワーキングメモリを圧迫し、注意力を鈍らせてしまいます。

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