ミスの多い人がわかっていない集中力の本質 散漫になりがちな注意力も上げられる
最近の調査では、人は起きている時間の半分近くを、その時点で行っている活動とは無関係なことを考えているという結果が出ています。
つまり、人は注意力が散漫になりやすいわけで、アテンションミスを減らし仕事で成果を出すには、「注意」という貴重な資源をきちんとマネジメントする必要があるのです。
アテンションと習熟度の関係は、クルマの運転にたとえるとわかりやすいかもしれません。クルマの運転に慣れた人は、運転をしながら同乗者と会話できますが、初心者マークをつけていたころはそのような余裕はなかったはずです。
教習所で習った運転操作や注意点、交通ルールなどで注意を向ける先がいっぱいだったはずです。さらには、運転に不慣れだと視覚情報の取捨選択の勘所がわかっていないので、フロントガラスやサイドミラーから入ってくる情報をすべて取り込もうとします。
そこで同乗者から話しかけられても注意を向けられないわけです。これが運転の経験を積み重ねていくと運転操作は身体で覚えてしまいます(実際に脳内には動作を記憶する領域があります)。するとわざわざ注意力を向ける必要がなくなります。
また視覚情報に関しても、「この局面では、こことここを確認すればいい」と情報を選別できるようになるので、最低限の注意力で事足りるようになります。
ここで仕事に話を戻すと、たとえば大事なプレゼン資料での誤字の見落としに気づいたとき、ついつい「校正作業の質」がクローズアップされがちですが、本来大事なことは「校正作業」以外のことでアテンションを使っていなかったか振り返ることなのです。
それをせずに「次回はもっと真剣に校正しよう」と意気込んだところで、使えるアテンションの量は同じか、もしくは「ミスをなくそう」とさらに注意を使うことでさらにアテンションの量が減り、結果的にミスが増えることにつながりかねません。
そしてこれこそ、アテンションミスを繰り返す人に多く見られる悪循環です。
注意のムダ遣いを減らす方法
仕事に慣れて注意に余裕を生み出す以外の、もう1つの基本対策は、注意のムダ遣いを減らすことです。
仕事でなかなか集中できないとき、たいていの人は大小の心配事や関心事を抱えています。あれこれ考えすぎてキャパシティが足りていない状態です。こうした状態を回避するシンプルな方法があります。
それは話す、または書き出す。つまりアウトプットすることです。
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