移民の国カナダで、"ケベックが最強"の理由 「フランス語」も「トレーサビリティ」も、生き抜くための手段?

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講義は15分程度で、あとは学生たちが質問をしたり議論をしたりして、インタラクティブに講義を行います。それが当たり前に思っている学生たちが社会に入り、そのままビジネスに続いています。そのため、会議できちんと話すことが信頼を得るために重要なのです。

通常の業務においてもとにかく「Speak up(きちんと思った事を口にすること)」が重要です。ケベックは階級社会ではなく、みんなに平等にチャンスがあります。この事務所でも、何かあればスタッフはみな私のところにきて話をします。そこは、元のフランスとは異なるかもしれませんね。

フランスは古い歴史があり、階級社会でした。フランスからケベックに移り住み、階級社会をなくしてインフォーマルに交渉を進めるようになったのです。

ただインフォーマルと言っても、それは「意見を言う」ということに関してであり、コミュニケーションとしてはFront stage (表舞台) とBack stage(裏舞台)があることも意識するべきかもしれませんね。とても親しい関係になると下の名前で呼ぶなどカジュアルになりますが、それでもTPOに合わせてミーティングなどのフォーマルな場ではDr.○○など敬称をつけて苗字で呼ぶなど、使い分けたほうがいいです。

さらにケベックの会社は最初の交渉が強く、「Push & Pull (押しと引き)」が大切です。そこで日本の「礼儀」を持ってきて引いてしまっては、パートナーをなくします。ユーモアも入れながら駆け引きを行う、それがケベックのスタイルです。

“フランコフォン”と“アングロフォン”

――どのような場でもきちんと意見は言いながらも、カジュアルとフォーマルは使い分けないといけないのですね。

シャロンさん:そしてもうひとつは、フェミニストの文化だということです。ジェンダーの観点をきちんと意識して、ビジネスにも取り入れてください。フランスもフェミニストですが、ケベックはフランスよりもさらにフェミニストだと言えます。ビジネスのチームを作るときも必ず女性を入れ、平等に力を発揮させていれば交渉でも信頼されてうまくいきます。

――ケベックの話では、“フランコフォン”と“アングロフォン”という言葉をよく聞きますね。とても簡潔に言えば、フランコフォンとは「フランス語をメインの言語として話す人やその集団、地域」で、アングロフォンとは「英語をメインの言語として話す人やその集団、地域」でしょうか?

シャロンさん:そうです。「フランコフォン」がまとまって「フランコフォニー」として、フランス語圏の2億2000万人の人々がつながります。日本でも関西で「フランコフォニーフェスティバル」が開かれていますよ。

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