――ケベックでビジネスをするときには、日本企業も英語よりもフランス語を主に使う必要がありますか?
シャロンさん:プレゼンテーションの書類、契約書、会社の案内やウェブサイトもすべて、フランス語と英語を作ったほうがいいでしょう。名刺もフランス語が必要です。ケベックにも“アングロフォン”の会社はありますが、フランス語で書いてあるとケベックの文化を尊重していることが伝わり、信頼を得られ、交渉がうまく進みます。
私たちも日本ではフランス語と日本語の書類を作っています。ビジネスをうまく進めるためには、翻訳をしてもらう手間などは小さなことですよね。
フランス語にそこまでこだわる理由
――従業員にはフランス語を話す“権利”があると聞きましたが?
シャロンさん:会社の大きさによりますが、公的機関はフランス語がメインですね。小さい会社であれば、フランコフォンとアングロフォンを混ぜたほうがいいかもしれません。
従業員が50人以上の会社は“ケベック州フランス語オフィス”に登録する必要があり、職場においてフランス語が尊重されていると判断された場合、「フランス語使用証明書(Francization certificate)」が発行されます。この証明書が発行されない場合、会社は従業員がフランス語を学べるようにコースに通わせたりするなど、フランス語が尊重される環境を整えなければいけません。
――雇用の際に、特定の言語の能力を条件としてはいけないとも聞きましたが、どうでしょうか?
シャロンさん:「日本語の能力を優遇」とすることはできますが、条件にはできません。
――失礼を承知であえて聞かせていただきたいのですが、なぜそこまでフランス語を守っていらっしゃるのですか?
シャロンさん:北米では2億人が英語を話し、600万人がフランス語を話します。数としては大きな違いがありますので、その中でフランス語を守ることが、私たちのアイデンティティなのです。私たちはフランス語を話すことに誇りを持っています。
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