就職に強い理系学部のメリットをフルに生かせる理工系大学は、ランキングに数多く登場する。中でも2位の東京工業大学は、このランキングで常に上位にあり、今春の就職率は54.9%という高い数値となっている。日立製作所27人、三菱電機22人など、製造業の就職者が多いが、3大メガバンクに19人、野村総合研究所(グループ)に16人と、金融やシンクタンク系の企業にも一定数の就職者がいる。製造業以外でも理系的な思考力を求める企業が多く、また情報関連の部署が不可欠なため、難関大の理系学生は引く手あまただ。
理系学生が就職に強いのは、研究活動を通してPDCAサイクルを回せる学生が多いというのも挙げられる。3位の豊田工業大学や8位の電気通信大学、11位の九州工業大学、12位の東京理科大学など理工系大学の強みを発揮して、結果に結び付けている。
4位慶應大、6位早稲田大
4位の慶應義塾大学は、一橋大学と同様、有名企業からの積極的なアプローチを受ける大学の一つ。実就職率を上げるには、卒業者数が少ないほど有利だが、同大学は8000人超の卒業者数を抱えているのにもかかわらず、その内の46.9%が有名企業に就職している。1社あたりの就職者数も多く、5大商社に170人、3大メガバンクに372人が就職した。
6位の早稲田大学は卒業者数が多いこともあり、ランキングでは慶應義塾大学を下回っているが、400社の就職者数では慶應義塾大学を910人上回る4103人。5大商社への就職者数が152人、3大メガバンクが344人となっている。JFEグループ、日本IBM、三菱電機などの製造業への就職者数が多いのも特徴のひとつだ。
国立の総合大学では、9位の名古屋大学や10位の大阪大学などの旧帝大クラスも有名企業からアプローチされる大学。理工系大学が就職に強いように、理系学部の定員が多い国立大も採用数が多い製造業に強く、それが高い就職率の要因となっている。こうした大学は産学連携による共同研究を通した企業との結びつきが強く、研究室推薦があることも強み。名古屋大学はデンソー62人、トヨタ自動車47人、中部電力28人、大阪大学はパナソニック59人、三菱電機57人など、本社もしくは研究所が地元にある企業を中心に、多くの学生が就職している。
ランキングの上位大学は、歴史があり伝統的に有名企業に強い大学が大半。その中で歴史が浅いながら上位に入っているのは、理系大学のひとつとして触れた3位豊田工業大学と5位の国際教養大学だ。
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