東大合格請負人が「シェアハウス」に注ぐ熱血 自主性のない子どもほど、共同生活で変わる

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時田:たとえば、ペットボトルを使って、リズムを刻みながら覚える指導を行っています。音楽というのは不思議なもので、文字がまだない時代から老若男女問わず、世界中にあふれています。長い文章はなかなか頭に入ってきませんが、主語、目的語、述語みたいにちゃんと自分で意識しながら、リズムにのって声に出すと、不思議と頭にどんどん入ってきます。

「私は、ここで、これこれを、しました」というように、私がまずペットボトルで机をたたきながらリズムの付け方を示し、生徒にもやってもらいます。はじめは上手くできない子が大半。しかも自分では気付いていない。周りの人から、「話の内容もリズムも分からない」と言われ、初めて本人はそのことに気づきます。

逆にうまくリズムを取れた時は、周りの人から納得を得られるケースも多くなります。自分なりのリズムがある子は、覚えるのも早いし説明も上手になります。

鬼頭:面白い指導方法ですね。でもなぜペットボトルなんですか?

時田:ペットボトルの音がちょうどいいんですよ。ポコポコポコという、いわゆる仏教の木魚のようで。木魚も、そもそもはお坊さんたちが眠らないため、また長いお経を覚えるためにやってるそうなんですよ。

発表学習が記述式回答の力を育てる

鬼頭:私も中3の時に歌を使った古文の暗記を先生にさせられたことがあります。その先生が作った歌を全員で10回ぐらい歌う、みたいな(笑)。あれ、未だに覚えていますね。

時田:ここではほかにも、グループワークでの発表形式の講義もあります。何について説明するかテーマを決めてもらい、そのあと詳細を書いてもらう。重要なところは赤とか青とか、工夫してもらいます。書き方やテンプレートなどは与えません。世界史、英語、数学など、教科もばらばら。自分が勉強していることをもとに、すべて自分で決めてもらいます。

鬼頭:それ、スラスラ書けるものなのですか?

時田:できません。自分が今勉強している分野の全体像が分からないと、どう書いていいのか分からない。もう一文字目が書けないんですよね。

そうなったらずっと逆説的に考えてもらいます。例えば「なんで書けないのか、それは設計図ができてないからだ。じゃあ勉強した内容を箇条書きしてみよう。これらの共通点ってなんだろう」と。そこからは、周辺情報も集め、最終的に1枚の紙にまとめ発表してもらいます。

発表の内容がいまひとつ相手に伝わらない時というのは、たいてい情報が多すぎる時。なので、大テーマから、伝えたい内容、それにまつわる一連の流れを、情報量を操作しながらスマートに説明することを求めます。すると、勉強した内容が本人にとって初めて明確になります。これを繰り返せば、60字以内の記述式などでも、全体の設計図から要素を埋めていく力が自然と身に付いていきます。

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