大人が「絵本」を読んで得られる意外な気づき 子どもに読み聞かせるだけじゃもったいない
さて、そんな「絵本のある生活」を仕掛けているのが、先ほどからちょくちょく出て行くるニジノ絵本屋です。
東急東横線・都立大学駅から歩いて1分にある雑居ビルの3階。黄色を基調とした2坪ほどの店内には、所狭しと並んでいます。ただし、ニジノ絵本屋は単に絵本を販売しているだけではなく、「絵本ピクニック」や「えほんLIVE」、さらには絵本作りのワークショップ、絵本読みきかせ講座などのイベント事業を手掛けるほか、「ニジノ絵本屋レーベル」として絵本の出版も行っています。
絵本屋を目指していたわけではない
通常、出版社と書店の機能は別れており、書店が自ら出版業を営むことも、その逆もあまりありません。なぜニジノ絵本屋は、自ら出版業に踏み込むことになったのか。それには、この絵本屋の生い立ちが大いに関係しています。
ニジノ絵本屋が創業したのは、今から6年前のこと。代表の石井彩が、ひょんなきっかけで都立大のビルに空きスペースができたので、「何かお店をやらないか」と持ち掛けられたのが始まりでした。当時(どころかつい最近まで)医療関係の仕事をしていた石井にはもちろん、商店を営んだ経験はなし。それでも、「自分の幼なじみが絵本を出版したのに、それを扱っている本屋がなかったから」という理由で絵本屋を開きました。
ニジノ絵本屋の屋号が示すとおり、目指したのは「作り手と読み手をつなぐ架け橋」。有名無名にかかわらず、作り手の顔が見える本を扱うことに力を入れたのです。有名な絵本であれば大手書店で手に入ることも考慮した結果、2坪の店内には必然的に大手書店では扱われない絵本たちが並ぶことになりました。
ところが、創業してすぐ、大きな壁にぶつかります。通常、書店はいわゆる取次(とりつぎ)から本を仕入れますが、ニジノ絵本屋は扱う絵本の冊数が100タイトル以下と少なかったこともあって、なかなか特定の仕入れ先が見つからなかったのです。
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