大井川鉄道「トーマス」とソニーの意外な関係

両社の仲介に「京阪電鉄」もひと役買っていた

アジア初の「きかんしゃトーマス」実車運転で、今夏も大賑わいをみせる大井川鉄道 ©2016 Gullane (Thomas) Limited
大井川鐵道(以下、大井川鉄道)が、今夏も「きかんしゃトーマス」の運転を始め、大賑わいを見せている。同社が「きかんしゃトーマス」を運行するのは今年で3年目。その「きかんしゃトーマス」の日本におけるライセンスは、ソニー・クリエイティブプロダクツ(以下、ソニー・CP)が有している。大井川鉄道とソニー・CPの両社には、そもそもどのような関係があったのだろうか。その“気になる関係”を調べてみた。

 

大井川は、2011年から2度の試練

まずは大井川鉄道から見てみよう。

同社は2011年度に7712万円の最終赤字に転落した。同年度が始まる直前の3月11日に東日本大震災が発生し、旅行需要が冷え込んだ結果だ。翌2012年度は盛り返しを図ったものの、1810万円の最終赤字となり黒字回復には至らなかった。

震災から2年が経ち、震災に対する自粛ブームが薄れてきたことから、2013年度は3年ぶりの黒字を見込めるかと思われた。ところが結果は、2011年度を上回る8540万円の最終赤字に陥ってしまった。この原因は、前年に起きた関越自動車道でのツアーバス死傷事故を契機として、国土交通省が2013年8月1日付でバス運転手に対する規制強化を打ち出した影響だ。

このとき、国交省はバス運転手1人につき1日の運転距離を、500km以下にすることを定めた。大井川鉄道の沿線は都内からちょうど200kmほどなので、往復しても影響はなさそうに思える。しかし、ツアーバスは単に往復して終わりではなく、集合・解散場所までの送迎業務がある。さらに、目的地は1カ所でなく、いくつもの目玉観光地を回ってお得感を高めるのが常套手段だ。これでは1日の走行距離は500kmを越えてしまう。

そのため、ツアーの催行には2名の運転士を手配しなければならなくなった。だからといって、参加費を値上げすれば集客ができない。結果としてバスツアーが軒並み企画されなくなってしまったのだ。それでも静岡地区や名古屋圏からのツアーバスは引き続き催行されたが、稼ぎ頭だった首都圏からのツアーがなくなったことで、経営の屋台骨が揺らいでしまったというわけだ。

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