大井川鉄道「トーマス」とソニーの意外な関係 両社の仲介に「京阪電鉄」もひと役買っていた

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大井川鉄道の事業経営の柱を過去からさかのぼってみよう。

近年は定期券利用者が長期低落傾向を続けている。だが、SLの運行を始めた翌年の1977年には、SL利用者は年間わずか7万4000人だったのに対して、定期券利用者は年間146万3000人と比べるべくもない大差だった。

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ソニー・CPにとって、「Day Out With Thomas」を日本で行うことは宿願だった。それを実現できたのは、大井川鉄道の有する種々の条件が重なったおかげだった ©2016 Gullane (Thomas) Limited

それが30年後の2007年にはSL利用者と定期券利用者が逆転し、2015年にはSL利用者が272万人なのに対して、定期券利用者は114万人と4割強にまで激減している。両事業の売上額をみても、本線売上額は約7億2492万円なのに対して、定期券売上額はわずかに約2675万円と、本線売上額の約3.7%にすぎない。

大井川鉄道によると、「通勤定期券はいまや利用者がごくわずかで、定期券利用者は通学定期券だけと考えてよいレベル」という。もともと通学定期券は割引率が大きいだけに利益貢献度が少ない。これでは生活路線として維持することが難しい。

一方、SL列車は、普通乗車券もしくはフリーきっぷを使い、さらにSL急行料金800円(小人400円)も払う。ちなみに、SL列車運転区間の新金谷駅~千頭(せんず)駅間は往復で3440円(小人1720円)、大井川本線フリーきっぷは新金谷駅~千頭駅間往復と同額だ。団体客だと割引でこれより安い額になるとはいえ、部分的な利用となる通学定期券に比べれば、売上額の差は歴然だ。

「トーマス効果」で黒字化果たす

現在、大井川本線の旅客収入はSL利用者の動向とほぼ連動している。2011年度から3年連続で最終赤字だったが、2014年度には「きかんしゃトーマス」効果で一転黒字化を果たし、翌2015年度は大きく黒字幅を増やした。

2015年度の大井川鉄道の最終利益は24億9010万円。うち23億7120万円は、経営難に陥った大井川鉄道に対する有利子負債等の債務免除額を特別利益に計上したことによるものだ。この特別利益額を差し引いた後の純利益は1億1890万円となる。これが現状での大井川鉄道の実態を表す収益力とみてよいだろう。ちなみに長らく筆頭株主だった名古屋鉄道が同社の経営から撤退し、代わって、2015年9月1日から地域経済活性化支援機構が仲介した北海道のエクリプス日高が経営を引き継いだ。同社が経営を引き受けるに際しては3億円の資本増強を行い、全額を同社が引き受けている。

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