大井川鉄道「トーマス」とソニーの意外な関係 両社の仲介に「京阪電鉄」もひと役買っていた

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ソニー・CPとしてうれしいのは、大井川鉄道が本物の蒸気機関車を運転していることはもちろんだが、トーマスとジェームス用に2両を充当しても、通常のSL急行も運転できることも大きい。同社の基本サービスに影響を与えずに「Day Out With Thomas」の展開ができるのは、願ってもない環境だ。また、キャラクター専用機を2両も確保することは、なかなかできることではない。

そのうえ、トーマスの”本名“は「Thomas The Tank Engine」。つまり、トーマスはタンク機関車でなければいけない。幸いにして、大井川鉄道の主力機が石炭と水を機関車本体に積んでいるタンク機であること。ジェームスは炭水車(テンダー)をつけたテンダー機だが、そのテンダー機関車も有していることもある。つまり、大井川鉄道は理想的な設備環境であることがわかる。

ウィン・ウィンの関係を築く

さらに、「トーマスとそのなかまたち」のほかのキャラクターとなる車両もあるほか、終点の千頭駅には広い構内があるためトーマスフェアを開くのに好都合だ。それでいて、首都圏から日帰り圏にあり、大井川本線の片道乗車時間も1時間強。家族連れで乗りに行くのには無理のない位置と所要時間という好条件がそろっている。

「3年前のお披露目から変わることなく、現在も年間約1000を超える媒体でご紹介していただいています。これによって、『きかんしゃトーマス』ファンにとどまらず、より多くの方にその魅力を知っていただけております」とソニー・CPの担当者は話す。ファンの底辺が広がることで、キャラクタービジネスとしての市場規模の拡大が大きく見込めるというわけだ。

このように、大井川鉄道とソニー・CPがウィン・ウィンの関係にあることが、今回の取材でわかった。いまのところ、今年で期限がくる3年契約について、来年以降も更新するかの話し合いは持たれていないという。現在は夏休みの利用者への対応で手一杯というのが本音のようだ。しかし、ウィン・ウィンの関係は企業活動としてもっとも望ましいものであり、それが実現できているということは、契約更新もしくはさらにボリュームアップした条件での新規契約が期待できそうだ。

伊藤 博康 鉄道フォーラム代表

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いとう ひろやす / Hiroyasu Ito

1958年愛知県生まれ。大学卒業後に10年間のサラリーマン生活を経て、パソコン通信NIFTY-Serveで鉄道フォーラムの運営をするために脱サラ。1998年に(有)鉄道フォーラムを立ち上げて代表取締役に就任。2007年にニフティ(株)がフォーラムサービスから撤退したため、独自サーバを立ち上げて鉄道フォーラムのサービスを継続中。鉄道写真の撮影や執筆なども行う。

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