シャープを悩ます、社長と会長の不協和音

社内から経営陣のリーダーシップに対する不安の声

本社2階の役員フロア。社長室の隣が大西専務の部屋、もう一方が役員秘書室である。三つの部屋は通り抜けができる構造になっている。「大西さんは何かあればすぐに社長室のドアをノックして話し込んでいる」(シャープ関係者)。やや離れて部屋がある片山会長が社長室を訪ねることは、ほとんどない。

まとまらない社内に危機感を抱いたのか、大物OBが動き出した。

今年1月、1986~98年にシャープ第3代社長を務めた辻晴雄氏の肩書が「相談役」から「特別顧問」に切り替わった。肩書変更は社内で正式に通知されたわけではないものの、徐々に浸透し始めている。

2代目社長、佐伯旭氏(故人)の娘婿の兄でもある辻氏は、シャープの液晶事業の基礎を築いた。「若い人の意見を吸い上げ、管理職層に厳しい」(OB)、「辻さんの再登板でも構わない」(現役社員)と、その人柄や経営手腕を評価する声は根強い。

「ほぼ毎日出社される」(社員)という辻氏の役割はあくまで幹部への助言にとどまる。報酬も受け取っていない。現役幹部は「80歳になられたから(特別顧問に就任した)」と他意を否定する。一方で奥田社長を推したのは辻氏と見る向きもあり、肩書変更は静かな波紋を呼んでいる。

「誰が経営権を持っているのかわからない」「シャープがどこへ向かうのかが見えない。こんなときだからこそ、トップにビジョンを示してほしい」。社内から発せられる不安の声は大きなうねりとなりつつある。会社の存続にとって、目先の資金繰りに劣らない重大な問題である。

 

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