シャープを悩ます、社長と会長の不協和音 社内から経営陣のリーダーシップに対する不安の声
早々に液晶の長へ復帰
昨年6月の株主総会で代表権を持つ4副社長が一斉に退陣。奥田隆司社長ら新経営陣が代表取締役に就き、新旧交代が進むかに見えた。
しかし、株主総会からまもない7月、緊急対策の一環として片山会長は「液晶・デバイス管掌」に就任した。「新任の奥田社長ではすべてを管轄できない。液晶は専門性の高い片山さんに任せようという話になった」(関係者)。社内通達はされず、液晶事業の実務担当者らは当時「会長が亀山に連日いらっしゃるのはなぜか」と疑問を呈していた。
昨年8月3日。町田相談役と片山会長は、東京で台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業、郭台銘董事長と面会した。鴻海は昨年3月、シャープの第三者割当増資を1株550円、669億円分引き受けることで合意した。だが合意から半年、シャープの株価が著しく下落したことから、町田相談役が出資条件の見直しを切り出したという。
奥田社長、財務担当の大西徹夫専務はこの会談に不在だった。前日の2日、13年3月期の業績予想を2500億円の最終赤字へと大幅に引き下げたことで、金融機関への説明に追われていたためである。
8月3日を境に、鴻海との交渉は暗礁に乗り上げ、町田相談役の存在感は薄れていく。出社は週2~3日で、大阪商工会議所の副会頭など社外活動が主となった。一方の片山会長は経営会議には顔を出さず、資本提携交渉に奔走し始めた。
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