シャープを悩ます、社長と会長の不協和音

社内から経営陣のリーダーシップに対する不安の声

「シャープには本業で立ち直ってもらうのが一番だが、(他社からの出資など)もらえるものはもらえばいい」。みずほコーポレート銀行と三菱東京UFJ銀行の主力2行は、非公式ともいえる片山会長の動きを黙認してきた。

液晶事業での“外交”経験が多い片山会長は「欧米系のトップと論戦になっても物おじしない」(シャープ幹部)。クアルコム、サムスンと立て続けに成果を上げたことで、威信を取り戻しつつある。

資金繰りに窮しているシャープの状況を勘案すれば、蟄居するのではなく、出資交渉で汗をかくことが片山会長の経営責任という見方は成り立つ。しかし、割り切れない思いを抱く社員は少なくない。

00年以降、電機各社が大規模なリストラを断行する中で、シャープは「雇用は守る」と公言してきた。だが昨年12月、希望退職の募集に追い込まれ、2960人が会社を去った。「同僚や部下がいなくなり、残った社員も給与や賞与の大幅カットで平均年収は200万円近く下がった。なぜ旧経営陣が居座っているのか」(中堅社員)。「1年前(12年2月ごろ)に片山社長(=当時)は、『リストラをするなら自分は辞める覚悟だ』と仰っていた。まだ辞めていらっしゃらないので驚いている」(別の社員)。

希望退職を認められなかった専門家の流出も止まらない。「自動車部品メーカーから声がかかり、電池の有能なエンジニア数人が辞めてしまった。制御装置や有機EL関係でも韓国系などから引き抜きが相次いでいる」(社員)。

会長と社長の溝

非常事態にもかかわらず、片山会長と奥田社長の関係はどこかよそよそしい。

1月24日、本社で毎年恒例の新春OB会が開かれた。業績不振の折、アルコール抜きの昼食会である。

冒頭、片山会長があいさつに立った。「昨年はたいへん申し訳ありませんでした。今年は脱皮し、構造改革を行います」。約400人のOBに頭を下げた後、クアルコムとの液晶技術における提携、「2日間充電なし」で使えるスマートフォンのヒットなど成果を並べた。「次は、1週間充電しなくとも使えるスマホを開発します」。

続いた奥田社長は、開口一番、「液晶に偏りすぎた」と反省の弁を述べた。「赤字になった原因は、外的要因より内的要因にあります。市場の動きをよく見ていなかった。液晶に偏りすぎてヒット商品が出なかった」。出席したOBは、「片山発言の否定」と受け取ったという。

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