日本こそ、TPPの恩恵を最大限に享受できる アジア貿易拡大に加え、傍若無人の中国も抑え込め

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その背景には、アジア地域の労働者の賃金が右肩上がりで上昇していることがあります。アジアの新興国で中間層と呼ばれる人々は、賃金上昇の恩恵を受けて、やっと廉価な液晶テレビやバイク、自動車などに手が届くようになりました。あと10年もすれば、彼らの収入はおそらく2倍超にはなっており、今のアジアの富裕層と同じように高級家電や高級自動車、あるいはブランド品を欲しいと思うようになるでしょう。

TPPは長い目で見れば先進国に有利

歴史が示しているように、どこの国でも経済発展すると、ステイタスとして先進国でつくられたモノを欲しがるものなのです。だから、TPPは10年単位で見れば、先進国のほうが新興国よりも得られる果実が大きいのです。

そうであるならば、これらの人々を消費者として取り込まない手はありません。日本は米欧よりも東南アジアに地理的に近いという利点もあり、日本企業はすでにASEAN域内での製品や部品の供給網を張りめぐらせ、現時点では圧倒的に優位に立っています。この強みを生かし続けるためにも、日本はTPPへの参加を決定し、インドやインドネシアにも参加を呼びかけていく必要があるのです。

 さらに、日本にとってもTPPの拡大は、国際的な経済ルールを無視した中国の傍若無人ぶりを抑え込むには好機である、ととらえることができます。

中国による知的財産権の侵害や技術の盗用は、もはや看過できるレベルのものではないからです。中国による知的財産権の侵害や技術の盗用は、日用品や化粧品から電化製品、衣料品、バイクに至るまで、一つ一つ取り上げていったら枚挙にいとまがありません。すべての製品の遺失利益を計算して積み上げていったら、日本の企業だけでも1年間あたり数兆円単位で済んでいるとはとても思えないのです。

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