前回のコラムでは、安部政権の経済政策に対して、金融緩和ではなく成長産業の育成に力を入れるよう述べました。雇用の受け皿なくして、本当の意味での経済成長などはないからです。
そこで今回は、有望な成長産業である農業・観光・医療のうち、農業について詳しく話したいと思います。
ゾンビ産業となってしまった農業
有望な3つの分野のうち、まずは農業から見ていきたいと思います。
産業として見た場合、日本の農業の生産性は、現状では極めて低いと言わざるをえません。日本の農業総生産額は、2010年時点で8兆1200億円にも上り、中国、米国、インド、ブラジルに次いで世界で5番目に位置しています。
しかしながら、その総生産額のおよそ半分は税金や補助金で救済されているのが実態であり、そういった救済を受け続けているにもかかわらず、総生産額自体は1984年の11兆7000億円をピークに3割以上も減少しています。おまけに輸出額では、米国やオランダ、ドイツ、フランスなどの国々に大きく水をあけられています。
日本の農家の平均耕作地面積は2ヘクタールしかありません。その面積は、米国の170ヘクタール、ドイツの56ヘクタール、フランスの53ヘクタールと比べて、あまりにも小規模すぎると言わざるをえません。そのために、日本の農産物の生産コストは諸外国と比べても非常に割高になり、税金や補助金に頼らなければやっていけない状況にあるのです。
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