しかしこれは、裏を返せば、日本の農業はまだまだ効率化の余地が大きいため、ビジネスとして大きく発展しうる分野と見ることができます。日本の農業がまず取り組むべきは、小規模な農地の集約化を進め、大規模な農家をたくさん誕生させることです。そして、その生産性を高めていくことが重要であると言えるでしょう。
所得保障制度は愚策
現在、日本の就農人口は260万人程度と、ピーク時に比べて2割の規模にまで減少しています。実はこのことは、農地の集約を促す絶好のチャンスであると考えられます。
ところが、政府が所得補償制度のような愚策を行ってしまうと、遊んでいる農地を手放す人がいなくなってしまいます。所得補償制度とは、常に販売価格が生産コストを下回っている米や麦などを対象に、その差額を交付金で補填する制度です。
小規模な兼業農家であっても、減反に参加すれば交付金をもらえます。だから、コメの交付金の支払件数では、全体の90%を2ヘクタール以下の小規模な農家が占めています。小規模な農家でも交付金をもらえるのならば、農地を手放さず、形だけでも続けようとするのは当然です。
資本主義の本質は、一生懸命に努力した人が報われることであり、競争のない社会や産業が衰退するのは、歴史が証明しているところです。かつてのソビエトに代表される共産主義の経済が大失敗してしまったのも、いくら努力をしても労働者の賃金が変わらなかったためで、モチベーションの低下が生産性の慢性的な悪化に結びついたからなのです。
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