シェール革命により、アメリカ国内でのエネルギーの需給動向が大きく変化してきています。安価な天然ガスの供給と需要が増え続ける一方で、割高な原油や石炭の需要が減少し続けているのです。そのため、世界的なエネルギー価格の長期的な下落を予見させる連鎖現象が、2012年から少しずつ表れてきています。
米国は欧州だけでなく、アジアへも石炭を輸出
その代表的な例としては、アメリカで発電用燃料としての石炭の需要が減少したことにより、国内で余剰になった石炭が欧州に輸出されるようになったことが挙げられます。供給過剰にあったアメリカ産の石炭はすでに大幅に値下がりしていたので、欧州に輸出しても高い競争力を維持することができています。そのために、これまで欧州向けの輸出が多かったロシア産や南アフリカ産の石炭は、アメリカ産との価格競争を避け、東アジアや南アジアなどに輸出先を変える例が増えているのです。
ところが、アメリカが欧州に輸出しても余った石炭は、ロシア産や南アフリカ産の後を追うようにアジア全域に輸出されるようになり、その結果、アジアの石炭の需給が緩むことによって、世界的に石炭の価格が押し下げられる事態になっているのです。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら