ボーイング首脳、数週内の787再運航に自信 改善策はバッテリーの設計見直し

ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

万一トラブル起きても、大事故にはつながらない

ボーイング社の説明によると、新たに設計したバッテリーシステム(写真)は、従来と同様にリチウムイオン電池を使用。

そのうえで、(1)(大容量の電池を構成する)1つ1つのセル単位での発熱防止、(2)1つのセルで異常過熱が生じた際、周辺のセルへの熱拡散を防ぐための対策、(3)バッテリ全体に問題が及んでも火災事故などを防ぐための対策――などを考慮して設計し直したものだという。

具体的には、セル間や周囲に使用する絶縁体の性能を高めたほか、バッテリーの外枠容器も新たなものに変更。異常過熱時に、熱や電解液、ガスなどを機外へ排出して出火を防ぐ、新たな格納・排気システムも専用に開発した。

技術的な解説を行ったB787型機のチーフ・プロジェクト・エンジニア、マイク・シネット氏によると、「起こりうるあらゆるトラブルを想定し、そのすべてに対応できる対策をとった。バッテリーのトラブルが絶対に起きないとは断言できないが、万一起きたとしても大きな事故にはつながらない。それだけの対策を講じた」と説明する。

運航再開は何カ月後というより何週間後

ボーイング社では今後、数週間にわたって新バッテリーシステムの安全性テストを実施し、その後に最終的な試験飛行を行う。こうした一連のテスト終了後、FAAが運行再開の可否について判断を下す。

会見の席上、コナー社長は、「(運航)再開は何カ月後というより、何週間後という認識を持っている」と問題解決への自信を見せた。

B787型機をめぐっては、日本航空、全日本空輸の保有機で相次ぎバッテリーの異常過熱が発生。事態を重く見たFAAは34年ぶりとなる運航停止命令を発動した。

B787型機は日本の航空会社が世界の先陣を切って機体を導入しているうえ、主翼、胴体などにも多くの日本企業が機体製造に関わっている。今回の運航停止と、今後の運航再開に向けた一連の動向は、日本国内でも大きな注目を集めている。

(撮影:梅谷 秀司)

渡辺 清治 東洋経済 記者
桑原 幸作 東洋経済 記者
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
ビジネスの人気記事