英語が話せないと、「真の日本人」になれない 一人娘をインターナショナルスクールに入れた理由

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今、私の手元に1988年に創刊された『UPDATE』(ほんの木)という月刊誌がある。この雑誌は、私が今も編集者として尊敬する柴田敬三氏が、小学館の編集者から転じて創刊したもので、「地球時代と国際化を読むビジュアル・オピニオン・マガジン」と銘打たれた、当時としては画期的な雑誌だった。

たとえば、ニューヨーク市立大の霍見芳浩教授やオーストラリアのラトローブ大の杉本良夫教授らが登場して先進的な意見を述べ、毎号、パレスチナ情勢や開放に向かう中国など、当時注目の国際問題の特集記事が巻頭を飾っていた。

この『UPDATE』の1989年の6月号は、「市民レベルで進む日本の教育改革」という特集を組み、インターナショナルスクールを取り上げている。この特集記事の中に、インターに子供を通わせている親の一例として、私たち親子が登場している。

雑誌取材で語った「インターを選んだ理由」

この記事のリードは、当時の時代の雰囲気を知る手掛かりとなると思うので、以下、引用してみたい。

 押し寄せる国際化の波。その中にあって日本で最も遅れているのが教育ではないだろうか。
 世界は常に変化しており、“昨日”と同じことを繰り返しているだけでは何の進歩も望めない。3月15日には「新学習指導要領」が告示されたが、「日の丸」「君が代」を学校教育の場で強制しようというもの。海外では戦前の国粋主義の復権を目指すものととらえる人々も多く、地球時代を迎えようとする世界の動きからはまたも一歩後退した。
 一方、市民の間では自分たちの手で海外との交流に取り組む動きが見られる。塾とアメリカの市の教育委員会とによる交換留学、インターナショナル・スクールへの入学希望者増、小学校の英語教育導入と、国のシステムを越えた教育から得るもの、学ぶものは子どもたちを伸び伸びと大きくしている。

 

こんなリードで始まり、当時、娘が通っていたセントジョセフ・インターナショナルスクール(以下セントジョセフ)が紹介され、その中に次のようなコラム記事がある。

 日本の学校へは編入できないことを承知のうえで、子どもを幼稚園からセントジョセフへ通わせている山田順、佐保ご夫妻。奈保ちゃん(5歳)は、一昨年9月に入園した。
 きっかけは? 
 「親戚の子どもが通っているのを知っていたのが消極的理由です。積極的な理由はふたつあります。まず、英語がしゃべれるようになってほしかった。しかも自然に。自分達が中学から学んできたにもかかわらず話せないのは、語学生活の初めに英語にふれていなかったからだと思うのです。それに今後 ますます英語は必要になるでしょうから。次の理由は、不得意の科目を無理やり勉強させて、平均的人間を作ろうとする日本の教育への疑問からです。自分の子どもには、その人間の長所をより伸ばせる教育を受けさせたかった。自分のアピールできる面を知っている人間は、人生に対して積極的になれますから」
 奈保さんの反応は? 
 「最初は嫌がっていましたが、そのうちに右と左の感覚を“ライト、レフト”で覚えたように、体全体で吸収しているようですね。私達も娘の友達の外国人の家を訪れて、英会話のレッスン中です。年間の学費は約100万円ですが、日本の学校へ通いながら家庭教師、塾に費やすのとほぼ同じ金額になるのではないでしょうか。それに金銭よりも質を重視したいですからね」

 

今、読み返すと、実に恥ずかしい。

娘のクラスには、故・三船敏郎さんの娘さんの美佳ちゃん(女優)などもいたのに、私が率先して答えている。さらに、前述したように、このように答えると、それを聞いた人は面白くないことを、私はその後に知った。

次ページ当初、インターという選択肢はなかった
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