渋沢:でも、日銀当座預金で0.1%が付利されているところも含め、すべてマイナス金利を適用したら、銀行株は暴落しますよ。
中野:まあ、この策はウルトラC級になりますが、検討する余地はあるのではないでしょうか。少なくともお金は動き出します。
渋沢:問題は国内需要がそれで盛り上がるのかどうかということです。今の時点で、もう歴史的な低金利になっていますが、国内需要はあまり盛り上がってきません。これから先、マイナス金利をもう一段深堀りしても、国内需要が大きく回復するようなことにはならないのではないかという気もします。
中野:少なくとも株式市場には資金が流れるでしょう。現在も、1706兆円ある個人金融資産のうち、現預金には894兆円もの資金があるわけですが、これが動き出せば、株価にとってポジティブなインパクトを与えるのではないでしょうか。
渋沢:正直なところ日本の株価上昇は、日本独自の材料によるものではなく、米国の株価が上がっているから、とりあえず日本株も買っておくか、という程度の話だと思います。
1ドル110円まで円は売られない
中野:確かに、米国の経済指標は雇用統計も含めて堅調ですからね。Brexitによって、早期の利上げがしにくくなったことも、株価にとってはプラス材料でしょう。
藤野:そうですね。米国の雇用統計が予想よりも良かったことで円安が進みました。米国の景気が、そんなに悪くはないけれども、利上げをするほどでもない、というちょうど良い塩梅だったことも、ドルが買われた要因だと思います。ただ、円安は1ドル=107円から108円が限界で、110円まで円が売られることはないでしょう。
中野:10月にイタリアで憲法改正投票があって、レンツィ首相は憲法改正が出来ない場合、辞任すると言っています。仮に辞任となればイタリアの政界は混乱し、それが引き金になって経済にも悪影響を及ぼすおそれはありそうです。でも、それがイタリア発の金融危機に発展することはないでしょう。
ユーロ経済圏ではすでにESMという、金融危機が生じた時の安全弁が構築されているから、イタリアで金融不安が高まったとしても、欧州債務危機のような状態にはならないと思います。Brexitと同じように、一時的な混乱で収束するのではないでしょうか。
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