藤野:年内の株価については、それほど強気ではありませんが、大崩れすることはないと思います。景気は後退局面ですが、これは健全な景気循環によるものです。株価動向としては、追い風が吹くのは難しい状況なので、当面、全体的にぱっとしない、緩やかな下落相場が続くでしょう。下げたとしても、恐慌のような悲惨な状態にはならないと考えています。運用者としては、内需小型株を中心にした丁寧な銘柄選別で、2016年もプラスの成績で終われるようにしたいですね。
気掛かりな2017年以降の不動産市況
渋澤:まあ年内はそれほど心配していないのですが、2017年以降は要注意だと思っています。2018年には大型商業ビル等の供給がかなり増えることが予測されています。現在、マイナス金利なのでローンの金利が低いじゃないですか。そのため、たとえば3000万円のワンルームマンションを投資物件として、頭金なしで買っている会社員や公務員が結構いると聞いています。駅に近い新築マンションでしたら、必ず埋まりますから。
でも、借入の金利が低いと言ってもいろいろな手数料を差し引くと手元のリターンは1%程度。確かに、0%より魅力的ですが、そのために3000万円の借金をすることが正常といえますか。これって、バブルですよね。不動産価格が大きく崩れたら、資産価値があっという間に下がってしまいます。過度にレバレッジをかけることなく、長期的に価値創造している優良企業の株式に投資したほうが賢明だと思いますね。特に「何とかショック」があって株式市場が下落したときに、コツコツと拾えて、長期的に有利な投資へとつながりますから。
中野:不動産が危ういというのは、私も同じ意見です。今、銀行がものすごい勢いでアパートローンを貸していますよね。土地を持っている人の相続税対策として、アパートの大家さんになるというわけです。そして、月々のアパートの家賃を、アパートローンの返済に充てるのですが、首都圏では空室率が急上昇しています。
不動産の需給が崩れ始めたように感じています。需給が崩れて不動産価格が急落すれば、景気が冷え込み、株価の下落につながるおそれがあります。ホテルの稼働率も落ちていますしね。中期的な株価の動向を見るうえで、今後の不動産市況は要注意だと思います。
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