日銀はついに「ヤバイ」領域に足を踏み入れた 追加緩和で外国人も日本から遠ざかる?

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日銀の追加緩和発表後、7月29日の日経平均は結局、前日比92円高で終了した。だが筆者は今回の追加緩和は「苦し紛れ」「悪手」だという。なぜか(撮影:大隅智洋、写真は1月撮影)

市場の大方の予想通り、日銀は追加緩和に踏み切った。

内容は「ETFについて、保有残高が年間6兆円に相当するペースで増加するよう買い入れを行う(現行の約3.3兆円からほぼ倍増)」(7月29日付日本銀行「金融緩和の強化について」)という、ETFの買入れ額をほぼ倍増させるというものだ。

一方で、金融政策の目標となっているマネタリーベースについては「マネタリーベースが、年間約80兆円に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う」と、現状維持とした。

「金融緩和の目標は株価」と暴露したも同然

日銀は、追加緩和に踏み切らざるを得ない状況に追い込まれていた。その日銀が今回打ち出した「苦し紛れの追加緩和」は、追加緩和手段が限界に達したことを示すとともに、中央銀行の信頼を失墜させる悪手だった、と筆者は考える。

なぜ悪手なのか。日銀は今回「マネタリーベース増加ペース(年間約80兆円)の現状維持とETF買入れ額倍増」という追加緩和策を打ち出したが、これは日銀の政策目標が「マネタリーベース」ではなく「株価」にあるという本音を暴露したようなものである。

中央銀行のタブーの一つは、「株価」を金融政策の目標にすることだ。「株価」を金融政策の目標においてしまう、あるいはおいていると見做されることは、株式市場の変動に合わせて金融政策の変更を迫られるようになるからだ。

株価が下落する際には市場で緩和期待が膨らみ、日銀がその期待に応えた政策を打ち出さなければ、さらなる株価の下落を招くという悪循環に陥ることになる。今回の「ETF買入れ額の増額」に対して、木内委員が「株価を目標にしているとの誤ったメッセージになる」として反対票を投じたのは当然のことである。

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