渋沢:任天堂の株価が、「ポケモンGO」の影響で乱高下しましたよね。高値で3万2700円まで上昇したのが、安いところだと2万1700円。高値をつかんだ人は大変ですが、このように特定の銘柄の株価が、ごくわずかな期間で急騰するというのは、よほどほかに買うものがないということではないかと思います。
中野:振り返ってみると、下げた理由は6月24日に行われたイギリスの国民投票で、EU離脱派が残留派を上回ったからでした。それによる経済的な影響を懸念して、目先は大きく株価が下落し、為替も円高になったわけですが、よく考えてみると、EU離脱派が多数を占めたからといって即、マクロ経済にネガティブな影響が及ぶわけではない。現実的な見方に戻ったのでしょう。
財政出動に注目している
藤野:日経平均が7月に入って上昇トレンドになったのは、明らかに円安が進んだからです。7月8日に1ドル=100円台まで進んだ円高ですが、7月21日には107円の高値もありました。円高から円安に方向転換したことを受けて、国内株式以上では大型外需株が強くなっています。ただ、その一方で、3月にかけて大きく上昇していた東証マザーズ指数は、その反動で6月後半から7月前半にかけて調整色が強まりました。
中野:ここから先、株式市場はどうなると見ていますか。私は参院選挙まで身動きが取れなかった政策発動を、これから本格的に行ってくるのではないかとみているのですが。
渋沢:量的・質的金融緩和をもう一段進めてくると?
中野:ええ。金融政策に関しては、7月28、29日の両日で行われた金融政策決定会合で、ETFの買入額を倍増させましたが、それ以外は特に見るべき点はなく、全体としては地味な内容に終わりました。ただ、ここから先、注目されるのは、財政出動でしょう。二階俊博自民党総務会長は、デフレからの脱却を進めるためには、10兆円から20兆円の財政出動が必要だと言っています。
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