好調フェイスブック、日本では苦戦のナゼ? 「42億人」の巨大メディアに潜む死角

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フェイスブックメッセンジャーは2011年8月から単体アプリとして独立し、「フェイスブックは使わなくなってもフェイスブックメッセンジャーは手放せない」(日本のマーケティング会社幹部)というニーズを掴んだ。サービスを拡張したプラットフォーム化にも取り組んでおり、今年4月に米サンフランシスコで開かれた開発者向け会議「f8」では、「フェイスブックメッセンジャーでボット(AIを使ったプログラム)機能を提供する」と発表された。既に1万8000以上のボットがフェイスブックメッセンジャー上で稼働しており、このボット機能を使えば企業は天気情報や交通情報を定期的に自動配信したり、レシートや荷物の配送状況を通知したりできる。

一方、日本では「最近フェイスブックの存在感薄らいでいる」との声もネット広告関係者から聞かれる。実際、日本におけるフェイスブックの月間利用者は2015年12月時点で2500万人、インスタグラムが2016年3月時点で1200万人と発表されているが、その後更新されていない。また、外部調査では21~34歳の間でフェイスブックの利用者は減少に転じているほか、若年層からの支持がウリとなっているインスタグラムは50~54歳の利用者増加率が目立つというデータがある。グローバルでの快進撃と比べて日本が見劣りする感は否めない。

日本ではLINEのタイムライン機能に「敗退」

その原因を「LINEのタイムライン機能にユーザーを奪われているため」と見る関係者は多い。LINEのタイムラインは2012年8月から始まり、LINEの友だち同士で情報を共有できる、いわばLINE版のフェイスブックだ。

類似サービスなら互角に戦えるようにも思えるが、「フェイスブックは『リア充(リアルの生活が充実した人々)』と言われる一部の人々に社交場として使われている。LINEのタイムライン機能は逆に10~20人前後の地元仲間でコミュニケーションを取れれば十分という、特に地方の人たちを中心に使われている。フェイスブックはこうした地方のユーザーを開拓できてない」とあるネット広告企業の幹部は指摘する。

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