都会のサードプレイス、バー活用法(下) 実際に飲んでいるのは、あなたによく似たこんな人たち。

✎ 1〜 ✎ 7 ✎ 8 ✎ 9 ✎ 最新
拡大
縮小

「若いうちは、高いバーに行け」

石田くんは今年31歳。IT系、動画配信の会社の敏腕営業マンです。

新卒で入ったのが今の会社ですが、途中で一度、異業種への転職を経験。そこでの壮絶な体験ののち、復職。さらにパワーアップして、営業成績を伸ばしながら、後輩の指導にあたっています。Hollyとは彼が23歳のときからのお付き合い。

「酒の飲み方で、後輩に言っているのは2つ。社内の人間と固まって飲むな、そして、若いうちほど高いバーに行け、と」

どうして?

「会社の連中と飲むと、当然、仕事の話になる。どの案件がどうとか、そんな話ばっかり。せっかく仕事が終わって社外に出たのに、それじゃもったいない」

「背伸びをして、ひとりで、いろいろな人が集まるバーに行ってみる。自分と全然ジャンルの違う人と接することでこそ、新しいアイデアが生まれる。そう言ってます」

高いバーに行け、はどうして?

「高いバーで飲もうと思ったら、まず稼がなきゃいけない(笑)。モチベーションになるし、高いバーはサービスも集まる人も一流。いろんな気づきがあって、その後の人生が変わっていく。自分への投資は、資格をとったり、そんなことだけじゃないんです」

「バーは、劇場である」

「行きつけのバーは何軒かありますが、それぞれ客層が違っていて、夜ごとに、その日集まった人たちで、何かしらの物語が展開されていく。それもバー通いの楽しみですね」

確かに、それぞれのお客さまが、それぞれの人生を生き、それぞれの一日を過ごして、最後に集まってくる場所ですもんね。

「自分は、わりと演じるのとかが好きなんで、会社の中のイメージとはまったく違う自分を出して、その解放感を楽しんだりしますね。ただ酔って発散するんじゃなくて、違う自分を出すことで、自分自身の別の一面を楽しむ」

そっか、会社の中での、固定化された「営業・石田」のイメージから、自分を解放してあげるってこと。その舞台でもあるのね、石田くんにとって、バーって。

そういえば、わたしも新宿の小さなバーに入りびたっていた20代のころ、年上の常連さんたちとの会話の中で、自分自身のイメージをどうつくるか、なんていうことを、楽しんでいた時期がありましたっけ。

バーに集うお客さまたちの話は、これで終わりです。読んでくださったみなさまが、楽しくも充実したバー・ライフをスタートさせるきっかけになれば、とてもうれしいです。

次ページ酒は大人の教養である
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
日本の「パワー半導体」に一石投じる新会社の誕生
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
【浪人で人生変わった】30歳から東大受験・浪人で逆転合格!その壮絶半生から得た学び
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT