都会のサードプレイス、バー活用法(下) 実際に飲んでいるのは、あなたによく似たこんな人たち。

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「だって、あてにならないでしょ?」

ならば、どうやって探すのかと聞いたら、

「通りかかって、よさそうだと感じたら、入ってみます。あとは、信用できる人に聞く、かな」

販売の達人は、あくまでも「人」にこだわるのです。

「バーで愚痴るのは、もったいない」

あやこちゃんが売っているのは、庶民なら「これください」と言う前に、ゼロの数を確認したほうがいいような、超一流品ばかり。当然、お客さまの中には、気位の高い人も多いはず。

ときどき、明るく「きょうは電話で1時間も謝っちゃいました」と言いながら、無意識のうちに肩をもむしぐさを見せるときも……。そんなときのストレスはそうとうでしょう。

少し話はそれますが、10年以上バーをやってますと、一見のお客さまの中にも、お酒が入ると、抱えている悩みや、いろいろな不平不満を、口にされる方がいらっしゃいます。

お客さまが他にいらっしゃらない時であれば、吐き出してすっきりするなら、と思ってお聞きするのですが、内容があまりに濃かったり、長時間の場合は、お帰りになった後、今度はこちらがぐったり。

でも、あやこちゃんから、こちらがぐったりするような愚痴は、ひとことも聞いたことがありません。そこで、「いろんなお客さんがいて、ストレスたまらない?」と尋ねたら、

「行きつけのバーは、仕事から離れて、リセットしに行くところなので、仕事の話は持ち込みたくないんです」

また、同じ理由で、お気に入りのバーには、仕事関係の人とは行かない、と言います。

「いろいろなお客さんがいて、それぞれ、わたしがまったく知らない世界で仕事をしている。その人たちから、学ぶことはとても多く、勉強になる。それが楽しいんです」

そんな底抜けに明るいあやこちゃんには、当然ファンが。

「あなたから買いたいから」と、前任地でのお客さまが、新幹線に乗ってはるばるご来店。そして、同様に「あなたから買いたくて」と、来日のたびに足を運んでくれる海外のお客さまもいるとか。

あやこちゃん、これからも、シモキタにパリの香りを運んでくださいね。言ったことはないけど、わたし、あなたのつけているフラグランス、とても好きですよ。

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