若者にワークライフバランスなんていらない 城繁幸氏と考える「日本に依存しないキャリア」(中)

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:でも僕は、仕事ってそういうものだと思うんですよ。別に仕事で成長しないといけない理由はないし、まして企業がその人を成長させないといけない理由もない。もっと言うと、その人の人生設計まで企業が考えて食べさせてやる必要はないわけで。第三者がやるとしてもせいぜい政府の仕事であって、終身雇用であるべきや否やというのは、政府の大小とはまったく関係ない話です。

城繁幸(じょう・しげゆき)
人事コンサルタント
1973年生まれ。東京大学法学部卒業後、富士通に入社。人事部門にて新人事制度導入直後からその運営に携わり、同社退職後に執筆活動を始める。雇用問題 のスペシャリストとして、人事制度、採用などの各種雇用問題において、「若者の視点」を取り入れたユニークな意見を各メディアで発信中。最新著書に『若者を殺すのは誰か?

ムーギー:企業にどのような社会的使命を担わせるかという大きな問題につながってくるわけですが、企業が面倒を見てくれる、ないし見る余裕のある時代が長く続いてしまったので、それが当たり前になってしまったんでしょうね。実際に職業訓練機能に関しては大学は一切機能を担わず、企業が終身雇用の前提の下、手厚い社内訓練を施してこれたわけですから。

ただ不幸なことに学校教育では現実に起きていることを教えてもらえないし、メディアでは無責任な評論家の先生方が「企業は個人の幸せの最大化のために社会的責任を……」とおっしゃる。そして従業員の幸福を追求させる余裕のある一部の成功企業を取り上げて、まるですべての企業がそうしなければならない、ないしできるかのような幻想を与えている。

若いうちに自己責任で付加価値をつけ、特定の企業という文脈に頼らずとも食べていける、自分にしかできない仕事をやっていないと、本当に月給10万のワーキングプアになってしまうことへの切迫感がないんでしょうね。

グローバル市場での労働賃金に関して一物一価が適用されていく中で、国外に目を向けたときの競争環境激変への心の準備もないままに、いきなりそういう状況に追い込まれて、なんで会社は面倒見てくれないんだ、なんで学校や社会は面倒見てくれないんだ、となってしまっている人がいます。

:大学に行って話をすると、東大や慶応といった首都圏のいい大学の学生はわかっているけれど、それ以外の学生はまだあんまりわかっていない。だから、誰かがきちんと教えてあげないといけない。そうでないと、本当に人生取り返しがつかないことになってしまう気がするんですよね。

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