若者にワークライフバランスなんていらない

城繁幸氏と考える「日本に依存しないキャリア」(中)

幸い中の不幸~ゆでガエルになれた日本経済

:数年前、東大でOBと在学生の交流会みたいなのがあって顔出したんですが、「これから自分はどうやってキャリアを積めばいいんでしょうか?」と質問した学生に「大丈夫だ、東大生なんだからもっと胸を張ってどんと構えてろ」と言ってるOBがいて、蹴っ飛ばしてやろうかと本気で思いましたね。ああいう年長者がまだまだ多くて、せっかくつきかけた火をもみ消したりしている。

ムーギー:その意味で日本は、「不幸中の幸い」の逆の「幸い中の不幸」というか、ゆでガエルになれる過保護経済なんですよね。つまり、親世代に貯蓄がいっぱいあるので、親世代の援助で子世代はどうにか生きていけるところがある。子どもが生まれても、おじいちゃんとおばあちゃんが、やたらと面倒を見てくれたりする。自分で稼げなくても、親の貯蓄を食い潰して生きていけるところがあります。国の財政面でも、個人のキャリアの面でも、過去の貯蓄があまりにも大きいがゆえに、ゆでガエルになれる環境があったわけですよね。

それに対して、韓国の場合は、1997年のIMF危機のときに、外国からおカネを引っ張ってくるしかなくなって、厳しい大リストラを受けざるをえなかったわけです。

:ああ、そうですよね。あのときまでサムスンなんて日の丸電機のライバルだなどと誰も考えていなかった。でも5年後にはブランドと技術力以外で負け始め、今ではブランドでも負けている。

ムーギー:韓国の場合は、脆弱なところがあったからこそ、グローバル競争に対応するため急激な改革をせざるをえなかったわけですが、日本の場合は、体力があったから、ゆでガエルになれるほど生温かい温度を20年間も続けることができた。強かったからこそ、それが今の自助努力の遅れにつながっているのかもしれません。

:「企業は個人を成長させてくれなきゃダメだ。それができない会社はブラックなんだ」という論調は、僕は違うと思っていて。

ムーギー:自分でやれと。

:そう、基本は自分でやれと。確かにユニクロには問題があるんだろうし、厳しいんだろうけど、ユニクロはもう、「安定していればいい」という人には向いていない会社なんですよ。

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