自分と相性のいいバーを見つけて、そこに通うことで、家庭でもない、職場でもない、何のしがらみもない人たちが集まるところに自分の居場所ができる。
「背筋をのばして、お酒が入ってゆるくなった気分で、周囲の人たちを見渡していると、先入観や固定観念から解放されて、世の中を見渡すことができる。これって、実は、職場でキャリアを築いていきたい女性たちに、いちばん必要なことだと思うの」
視野を広げる、と言ってしまうと野暮ですが、一見、無駄に思える時間と出費に、自分自身を豊かにするための情報や出会いが隠れている。バーをそのためにお使いいただければ、店主としてこれほどうれしいことはありません。
いいことあったら、バーに行こう。
角田くんは、外資系の保険会社勤務の男性。もうすぐ30代に突入する、実直なイケメンです。
彼がバーに行こうと思うのは、リリーさんとはうって変わって、職場で自分のがんばりが認められたときなど、何かいいことがあったとき。「やったね、自分!」という、ごほうびみたいな感じで、バーに行きたくなるのだそう。
実は、角田くんは、感動の「お帰りなさい」組。初めての来店が就活まっただなかの学生時代で、無事現在の会社に就職できたと思ったら、いきなりの関西勤務。慣れない言葉、慣れない生活文化の中で5年間もまれて、晴れて本社に戻ってきたその足で、Hollyのドアを開けてくれたのです。
「来ようと思ってたんですけど、ずっと来れなくて」
当たり前ですよね、大阪からじゃ、ね。
5年間、東京に戻ったら、あのバーへ行きたい、そう思ってもらえていたなんて、ほんとうにうれしい再来店でした。
バーでは、知らない酒を飲もう。
角田くんにとって、バーとは、
「抱えている悩みを脇に置いて、おいしい酒を飲んでぼうっとリラックスできるところ。でも、旨い酒じゃないとこの境地にはなれないので、バー選びには、酒が旨いというのは、はずせません」
そんな角田くんから、これからバーを開拓しようという20代のビジネスパーソンへのおすすめは、
「バーに行ったら、その店ならではの、知らない酒をオーダーしてみる。失敗もあるかもしれないけど、店の人に相談しながら、いろんな酒にトライしてみること。世界が、広がります」
だそうです。
激務のようだけれど、確実にキャリアを重ねている角田くんに、いつまでも「酒の旨いバー」と言ってもらえるよう、私もがんばります。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら