日本よ、グローバルを超えた先進国をめざせ 弱肉強食のグローバリズムでは、世界はもたない

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日本の企業として、真に資源の安定供給を実現させるには、こうした企業とのグローバル競争に勝たなければならない。競争に勝って、資源の採掘権益を押さえない限り、日本の国益に資することはできないといえる。

つまり、総合商社の金属資源部門を、シンガポールに移転させた三菱商事のように、グローバル企業と戦えるだけの組織を整備しないことには、資源の安定確保は難しくなる一方なのだ。確かに日本政府の立場から言えば税収は表面的に落ちるかもしれない。だが、これからはグローバル企業と同じ最低限の税制メリットを持たない限り、チャンピオン企業を育てられない。また、日本の国益に合うだけの資源確保は実現できない、という判断も必要になってくるだろう。

交渉力とは知の戦いだ!

そもそも、戦略、戦術、戦闘を制するためには、基礎力を付けることが先決だ。交渉の場を経験することのない日本人は、外国に出るとビビッてしまって戦わずして負けるケースも多い。国際会議の席などでは、英語が良くわからないので議論にも入れないし何を聞かれてもニヤニヤ笑っているのが関の山である。

議論をするための経験の場が教育のカリキュラムにないから、土台無理な話である。G 20や国際フォーラムに参加しても、サロン文化に慣れていないから議論のサークルに入って行けないのだ。外務官僚ですら経験は豊富だが、日本の忖度文化が邪魔をするのか外国人の意見を配慮しすぎるから舐められてしまうのだ。

外交力や交渉力とは「知の戦い」だから、リーダーシップを持って常に有利に展開させなければ無駄である。中国人や韓国人はその点、言うべきことは言うが、なぜか日本人は人前で積極的にアピールすることを躊躇する傾向がある。繰返しになるが忖度文化や配慮文化は外国では通用しない。日本独特の風土の中だけの、仲間のうちに伝わる文化である。

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