リアル『ちはやふる』の世界を覗いてみた! 会社員が大活躍、「競技かるた」の醍醐味

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上の句の最初の文字“ほ”を読み手が発した瞬間、すでに名人は、下の句である「たたありあけのつきそのこれる」と書かれた札を手で払っていた。

客席がどよめく。競技かるた界の頂点を極めた超一流選手たちによる戦いに、観客も気が抜けない。

“1音目”が読まれた瞬間、札が飛ぶ

競技かるたは1対1の勝負で、100種類の札のうち50枚を使う(選手は、100種類の「上の句」「下の句」すべてが頭に入っている)。それぞれ自陣の前に各25枚ずつ並べて、15分間の暗記時間の中で、並べられた札をすべて記憶する。

競技かるたのデモンストレーションは、巨大スクリーンをバックに。両者の“札さばき”に観客が注目した(※画像はリハーサルの様子)

この暗記時間が一番のポイントだ。すべての「読み札」が読まれるのを聞きながら、その下の句が書かれた「取り札」を先に見つけて触れた選手が札を取る。

敵陣の札を取ったり、相手がお手つきをした場合は、1枚自陣の札を相手に渡すことができる。そのようにして、先に自陣の札をなくしたほうが勝ちだ。

デモの合間に、クイーンが気迫に満ちた表情で手を払い、畳をドンッドンッとたたく。札を取るイメージの素振りだ。

「憂かりける~」

「うか」の2文字を言ったか言わないかのうちに、クイーンが該当の札を払い飛ばす。「最初の2文字で取れる札です」。全日本かるた協会の伊藤裕之さんが解説する。

この札は最初の1音目が「う」。「うらみわび~」の札も同じだ。2音目がそれぞれ「か」「ら」になるので、それを読み上げたとき、選手はどちらの札か聞き分けて、瞬時に取りにかかる。

「瀬をはやみ~」

読手の“せ”と発する声が聞こえた瞬間、袴の擦れる音がしたと思ったら、すでに名人は札を払っていた。目にも留まらぬ速さに、多くの客が息をのんだ。

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