リアル『ちはやふる』の世界を覗いてみた! 会社員が大活躍、「競技かるた」の醍醐味

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一方の渡辺さんは、幼い頃からかるた一家の中で育ち、地元のかるた会・横浜隼会に所属する。

23歳で初めてクイーンとなり、史上最多の通算14期11連覇を果たし、史上2人目の永世クイーンという称号を持つ。その華々しい活躍から、石田ひかり主演のNHKテレビドラマのモデルになったこともある。

普段の顔は、神奈川トヨタ自動車の広報室係長だ。社会貢献の一環で神奈川トヨタの社員として、近隣の小学校へ模範試合を見せに行くなど、講演活動も多い。

「私も大会のときはあまり食べないですね。とくにご飯モノを食べるともたれる。暗記するときは、お腹がちょっと空いているほうがいい」(渡辺さん)

「ハングリーなほうが、能力を発揮できる」と、自身もA級選手である伊藤氏が同意する。

「超集中」と「超暗記」を繰り返す

競技かるたの大会は、1時間程度の試合が終われば、すぐ次の対戦を始めるケースが多い。

「小倉百人一首国際交流かるた大会2012 in 福岡」の様子。日本、アメリカ、中国、韓国、タイ、ニュージーランドの選手が和装で参加した。全日本かるた協会によれば、これらの国以外に、カナダ、フランスにもかるた会があるという

さっき覚えた札をすべて忘れて、また一からすべて暗記し直す。全国クラスの大会では、これを朝から晩まで5~7回繰り返すこともめずらしくない。壮絶な“超集中”“超暗記”の繰り返しだ。

こうして競技かるたで培った能力は、仕事や日常でも活かせそうだ。

「ふだんは結構のんびりしていますよ。『かるた、けっこう早く取れるんだよ』とOLの友達にいうと、『へえ~本当?』って聞かれるくらいです」(渡辺さん)

そうは言いつつも、仕事中、意識しないうちに作業に集中してしまい、話しかけられても気づかないようなことがしばしばあるとか。

「競技かるたの一流選手はものすごく集中する能力が身についているので、記憶力はすこぶる良い。状況にあわせて臨機応変に対応する力も備わっていると思います」(伊藤さん)

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