田原:たしかに若い人たちの投票率が低いね。でも、選挙に行かないのは言い方は悪いけれども、ほんとうにバカ。若い世代は政治のことがよくわからないから選挙に行かないと言うんだけど、これは結局のところ安倍政権に賛成しているのと同じですよ。
木本:そうなんですか。でも、「俺が投票したとしても何も変わらないから行かない」と言っている人は多いですよね。
田原:何も変わらない?そんなことはない。たとえば6月23日の国民投票でイギリスがEUから離脱することが決まった。多くの人が「まさか離脱することはない」と面白半分に離脱に票を投じたわけ。そうして離脱が過半数を超えてしまった。つまり、投票によって政治は変わるんですよ。その意味では、イギリスの国民投票はいいお手本になる。イギリスは今になって慌てていますから。
木本:ですね。面白半分に入れた人が、いまになって「違う違う」と叫んでいますね。選挙当日は強い雨が降っている地域も多かったそうですね。「どうせ離脱はないだろう」と思って選挙に行かない人も多かったみたいですよね。
田原:これは世界的にも大きな影響を与えた。教訓は何か。投票をしないと、あらぬ方向に動いてしまうかもしれない、ということです。
安倍政権は憲法改正を目指している
木本:国民投票で多数決をする怖さも、改めて知ることができました。
安倍さんの話にもどります。投票をする際の判断材料を教えてください。安倍さんが行っていることに賛成であれば与党候補に投票し、反対であれば野党候補に投票すればいい、ということはわかるのですが、そもそも安倍さんは何をやろうとしているのかがわからない。そこで知っておかなければいけない争点が、実は「憲法改正」なわけですね。
田原:そう。いまは表立っていわれていませんが、安倍さんは憲法改正によって3つのことをやりたいと思っている。まず「緊急事態条項」を作る。これは外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、大規模な災害などが起きたときに内閣総理大臣が権限を持って、言論の自由など、すべてのことをある期間縛ってしまう法律。これをやろうとしている。
二つ目が、いまの憲法は個人を大事にしているけど、家族を大切にする憲法に改めようとしている。三つ目は、これは木本さんもご存じでしょう。戦争放棄をうたった憲法9条を変えてしまうことです。自衛隊は、いわば「戦えない軍隊」。それをイギリスやフランスのような「戦える軍隊」に変えようとしている。
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