合理的な人が選挙に行かないこれだけの理由 選挙にはもっと市場原理を働かせるべきだ
投票率の低下は日本だけでなく、先進各国でも深刻な問題となっています。しかしそれも当然のことです。現在の日本など豊かな社会においては、国民は自分たちの生活の安定をある程度、保証されています。あえて、複雑怪奇な政治にかかわらなくても、何の不自由もないのです。また選挙に行ったところで自分の一票の影響力などたかが知れています。
ただ、そうした“合理的な”行動を取る人が増えすぎると、さすがにさまざまな問題が出てきます。 『世界史で学べ!間違いだらけの民主主義』(かんき出版)の著者、宇山卓栄氏が、民主主義の選挙に市場合理性を持ち込むことの必要性について語ります。
選挙に行かない合理的な人
合理的な人は選挙に行きません。自分の一票が選挙に与える影響、それが限りなくゼロに近いことを知っているからです。1億人の有権者に対し、自分の一票は1億分の1の効果しかありません。
「近似ゼロ効果」、つまり限りなく効果がゼロなことに対して、わざわざ行動を起こすことは時間と労力のムダです。したがって、合理的な観点からは、選挙に行かないことが正しい選択なのです。
投票のために、時間をかけて、政治について勉強したり、情報収集することは、合理的な観点から見れば、狂気の沙汰と映ります。合理的な人にとって、政治とはせいぜい、スキャンダル絡みのゴシップを楽しむ程度のもので、積極的にかかわるものではないでしょう。昨今の深刻な投票率の低下は多くの人々が「合理的な判断」をした結果として、現れているものです。
「国民として与えられた参政権を行使すべき」という見解は倫理的にも社会的にも正しいことですが、合理的な人にとっては、それらの正しさが合理的な正しさよりも優先されることは決してありません。
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