投票を棄権する有権者の合理的理由とは何か アベノミクス「真の正念場」は次の衆院選だ

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野党3党首と市民連合の街頭演説風景。有権者からみると、経済政策における与野党の差異は見いだしにくい(撮影:尾形文繁)

6月22日に公示された参議院議員選挙。今回の争点は、経済政策や憲法改正の是非などといわれる。確かに、与党が参議院でも(非改選を合わせて)3分の2以上の議席を獲得できるか否かは、憲法改正論議とも絡んで注目すべき点である。しかし、今回の参院選での経済政策をめぐる論議は、盛り上がりに欠ける。どの政党も、消費税増税の再延期に肯定的であり、自民党も民進党も公明党も、経済成長と分配の好循環とか両立とかを掲げており、差異を見出しにくい。

安倍晋三首相は、「アベノミクスを加速するのか逆戻りするのか、これが参議院選挙の最大の争点」と演説した。これは、野党が、消費増税再延期を「アベノミクスの失敗」と位置づけたことを受けての反論ともいえる。売られたけんかを買っただけかもしれない。「アベノミクスは失敗」とみる野党は、「アベノミクス」に代わる、顕著に異なる経済政策を打ち出せているかというと、そうではない。有権者から見れば、与野党で差異が見出しにくい経済政策を争点にするといわれても、その異同に基づいてどの政党・候補者に投票するかを決めるのは難しい。その意味では、野党は経済政策を争点化することに失敗したといえる。

信任投票というほど大げさな話ではない

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結局は、与党が参議院でも(非改選を合わせて)3分の2以上の議席を獲得できるか否か、そしてその裏表の争点である憲法改正が、今回の参議院選挙で最も意味を持つ争点といわざるをえない。

確かに、「アベノミクス」と顕著に異なる経済政策を野党が打ち出せていないことから、「アベノミクス」の事実上の信任投票という面はある。しかし、この選挙後に与党で参議院の過半数の議席を獲得できれば「アベノミクス」は継続されるのだし、与党が議席を大きく減らさない限り、逆戻りすることはなく「アベノミクスを加速する」のは選挙をする前から見えている。「アベノミクス」の信任投票というほど大げさな話でもない。

むしろ「アベノミクス」にとって正念場なのは、今回の参議院選挙ではなく次の衆議院選挙である。参議院選挙後から次の衆議院選挙までの期間に、「アベノミクス」が成果を上げられるか否かが重要だ。その衆議院選挙は、首相の意思で時期を決めることができる。今回、衆参同日選挙を安倍首相自らの判断で見送っただけに、なおさらである。

衆議院の解散権を握る首相は、任期満了を迎える前に、できるだけ与党が選挙で勝ちそうな時期を選んで衆院選を行いたいと考えている。では、与党が選挙で勝ちそうな時期とはいつか。経済政策や経済情勢を争点とするなら、それは景気がよい時期である。

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