愛知の電車からは「家族臭」がするんです 跡取り息子は地元がお好き?

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名古屋は排他的であり家族的

――友だちはできそう?

高校時代のサッカー部の同期が仲良くしてくれています。月2で集まってフットサルをしていて、毎月のように家族連れでイベントがあるんです。春は花見、夏はバーベキュー、秋はキャンプ、冬は忘年会。完全にサークルですね…。

地元意識というのは本当にすごいと思います。僕は10年以上名古屋を離れていたのに、帰ったら一瞬で仲間入りさせてくれる。仕事やプライベートのことは話題にならず、高校時代で時間がとまっているみたいです。

名古屋には家族臭がするという伊藤くんの指摘は興味深いと思った。よく「名古屋は排他的だ」と言われるが、表現を変えれば家族的なのだ。伊藤くんのシニカルな分析によると、「(外の人にとって)名古屋は生産をして出ていく場所。遊びに来たい、住みたいという人はあまりいない。
だから、コンパクトで持続的で家族的になる」とのこと。持続的というのは企業活動にも当てはまるようだ。外部の血があまり入らないので、慎重で堅実な同族企業が増えるのかもしれない。

――伊藤電機という会社は跡取りの伊藤くんにとってどんな存在なのかな。

一人暮らしのマンションにて。学生時代から始めたジャズドラムを継続中。「婚活もがんばっています!」

とにかくありがたい存在ですね。会社の稼ぎの一部が父親の収入になり、それがわが家の食費になってきたから。僕が身長173センチまで成長できたのは間違いなく会社のおかげです。

幼い頃はオフィスの上に実家がありました。名古屋には長く勤める人が多いので、勤続30年とか40年という社員さんがいっぱいいます。お客さんとのつき合いもおじいさんの代から続いていたりする。生まれたときから会社があるのでなくなることは想像できません。実家みたいなものですよ。

――東京にいないと業界の最前線から取り残されるという恐怖感はない? 僕はあるよ。

名古屋人の常識が僕にも伝染するという意味ではちょっと大変ですね。名古屋を出たことがない人がマジョリティなので、例えば英語ができない人が東京に比べると多い。勉強するという発想もありません。海外との仕事も多いんだから勉強すればいいのに…。

ただし、仕事自体では東京にひけをとらないと感じています。愛知には世界市場に出ている企業がたくさんあるからです。

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