英国EU離脱の余波に「中国」がおびえる理由 反グローバル感情がマイナスに影響

拡大
縮小
英国のEU離脱は中国にどんな影響を及ぼすのか (写真:KURO-T/PIXTA)

中国は西側の混乱から失うものが大きい。同国指導者らは、自国の比較的安定しているさまを誇示するために、欧州連合(EU)離脱の是非を問う英国民投票をぜひとも利用したいと考えているかもしれない。

英国民投票の影響を伝える中国メディア報道は、投票がいかにリスクとなり得るかについて、中国国民にあらためて思い知らせるのに主に役立った。だが、先進国世界でグローバル化への反発が高まっていることは、中国にとって深刻な問題だ。

黙々と国際関係強化に動く中国

中国が現在、グローバルな経済協力を支持していることも、それが理由だ。李克強首相は天津で開催された夏季ダボス会議で、経済問題の解決には各国が協力する必要があると強調。単一の経済が、相互につながった市場全体に及ぶ脅威から身を守ることはできないと語った。

当記事はロイターの提供記事です

中国は黙々と国際的な関係を築いている。英投票での「EU離脱派」勝利に世界各地の市場が動揺する中、 中国主導のアジアインフラ投資銀行(AIIB)は5億0900万ドル(約521億円)規模の融資第1弾を承認したと発表した。AIIBは世界銀行と協力し、インドネシアの貧困地区再開発に融資する。また、タジキスタンとウズベキスタンをつなぐ道路整備は、欧州復興開発銀行(EBRD)との協調融資で行う。

こうした金融支援の約束は、中国に対する態度を徐々に変えつつある。AIIBや、新経済圏を形成する中国の「一帯一路」構想に対するアジア代表団の熱意は、南シナ海での緊張に対する懸念を上回っている。

関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事
トレンドライブラリーAD
連載一覧
連載一覧はこちら
人気の動画
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】新興国化する日本、プロの「新NISA」観
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
【田内学×後藤達也】激論!日本を底上げする「金融教育」とは
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
TSUTAYAも大量閉店、CCCに起きている地殻変動
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
【田内学×後藤達也】株高の今「怪しい経済情報」ここに注意
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
会員記事アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
トレンドウォッチAD
東洋経済education×ICT