爆買いツアーよりもスゴい「越境EC」の潜在力 中国人は日本の物をもっと買いたがっている

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百貨店で購入された商品を好む中国人消費者は多い

いま、中国で越境EC(電子商取引【EC】のプラットフォームを通じて海外の個人や企業から直接商品を購入し、配送してもらうこと)が急速に発展している。インバウンドの延長線上にある越境ECは、日本でも最近注目を集めている。

日本から中国へのB2C、越境EC市場規模は2015年に7956億円(対前年比31.2%増)、2016年に1兆円を超え、2019年に2.3兆円に達する見通しである(経産省「平成27年度電子商取引に関する市場調査」、2016年6月)。今回は、なぜ中国で越境ECが急成長しているのか、急成長しているのに大成功を収めた日本企業の話が少ないのはなぜか、について取り上げたい。

なぜ、中国経済の成長は減速しているのに、越境ECは今後も成長すると言えるのだろうか。まず、中国製品の安全問題がある。中国人は、肌につける化粧品、口にする食品と医薬品、または家族の宝である子どもに関連するものについて非常に敏感で、できるだけ安心できる海外製品を使いたいと考えている。

越境ECを通した商品が熱烈に支持される理由

安全性だけでなく、中国国内に流通している中国製品の品質が低いとも考えている。日本商品に関しては、①同じ中国製でも輸出した商品、つまり日本から中国に逆輸出した商品の品質のほうが良い、②日本製の最高級品は日本でしか買えない、と信じている。

したがって、どうしても直接日本で購入したくなるというわけだ。訪日観光客や越境EC利用者にインタービューしたところ、「同じブランドの同じ名称の化粧品でも店舗によって販売しているものは異なる。日本の百貨店は一級品を、日本の空港免税店は二級品を売っている。その次は日本のドラッグストアで割引されて販売しているもので、一番よくないのは中国国内で販売しているもの」と言う中国人女性がほとんどだ。彼女らは日本の百貨店で直接買いに行くか、または越境ECを通して日本百貨店で購入された商品を買い求めるのである。

さらに、中国人の所得が向上し、ブランド意識や要求基準が高くなり、海外製品嗜好がさらに強まったことも指摘できる。中国人は以前から欧米や日本といった先進国のブランド品や商品に対する憧れが強い。近年、中間層が増え、自分のセンスの良さを伝えられるブランド品を使う傾向も高まった。しかし残念ながら、中国製品のブランド力はまだ先進国ほど高くない。

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