爆買いツアーよりもスゴい「越境EC」の潜在力

中国人は日本の物をもっと買いたがっている

中国国内の製造業が、進化している消費者ニーズを満たすまで時間がかかること、消費者が求めている商品の中国国内外価格差等により、今後も越境EC市場もますます発展していくと考えられる。

まず念頭に置いていただきたいのは、越境ECは一時的なブームでなく、国際貿易の電子化・ネットワーク化に相当するものであること。重要なポイントは、中間プロセス(輸出申請・検査の手続と時間等)が簡略化され、生産者と消費者が直接つながること、世界中の消費者と直接コンタクトでき、改善や新たなニーズの発見に素早く対応可能となることである。

日本企業が中国向けの越境ECで悩んでいる理由にはいくつかある。特にメーカーは、長年、国内は問屋・販社、海外は商社・現地法人経由で商売をしてきたので、直接消費者に販売するノウハウが不十分である。中国人の最新ライフスタイル(特に、スマホ中心で生活が成り立っていること)の実態を十分に把握できないため、プロモーション等マーケティング戦略をうまく立てられない。また、大手企業は、自社現地法人とのカニバリゼーション(越境ECの販売が現地法人の売上を侵食する)を危惧し、越境ECに効果的な戦略の意思決定ができていない。

プロモーションに活用できる「代購」の存在

その中で、いちばん大きな問題は、プロモーションだ。「越境EC」の先輩である「代購」を紹介したい。実は中国の越境ECにおいて、「代購」(代理購買。欧米や日本で商品を買い、SNSやC2Cサイトを通じて販売する)は、非常に重要なプレイヤーである。

「代購」の多くは在日中国人である。中国人の主婦や学生が余った時間でする場合もあれば、法人化して専業としている人もいる。中国人の多くは、海外の製品を越境ECより代購を通じて購入しているようだ。2014年中国のB2C越境ECの規模は210億ドル(2.4兆円)(アクセンチュア)に対し、同年に代購の市場規模はすでに1549億元(2.5兆円)に達すると推計した調査結果もある(中国電子商取引研究センター)。

なぜこのように成功しているのか。それは、代購が消費者のニーズを徹底的に把握し、効果的にプロモーションをしているからだろう。一つは「心理的距離の短縮」である。ネット販売なので、できるだけ商品の効果が伝わるように工夫する。

代購と言っても一般人なので消費者は親近感を感じる。商品を紹介する際、商品説明書の中国語翻訳、商品の使用前後の写真、他製品と利用効果の違い……メーカーの手の届かない部分まで丁寧に説明する。つまり、代購は中国人に向けにカスタマイズしたマニュアルを作成しているのである。使い方などを聞かれたら、自分なりに調べたり、聞いたり、他の顧客のフィードバックを参考にして答える。

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