「爆買いバブル」が2017年までに崩壊する理由 なぜ中国人旅行者はあんなに買っているのか
ここ数年、訪日外国人旅行者数が急激に伸び、日本の企業にとって「千載一遇」のビジネスチャンスが訪れています。中でも特に注目されるのが、訪日中国人の数と旺盛な消費。「爆買い」と形容され、2015年ユーキャン新語・流行語大賞にも選ばれたほどです。実際、爆買いの恩恵を受け潤っている日本企業は多いでしょう。このまま“爆買いバブル”が続くことを日本中が期待しています。もちろん、私もそのひとりです。
しかし“爆買いバブル”は早くも崩壊の兆しが見え始めていることにお気づきでしょうか。爆買いの象徴ともいえる炊飯器の売り上げはすでにピークを過ぎ、中国国内では経済成長の停滞や、元安・円高の進行を懸念する声も出てきています。
拙著『10年後も中国人に爆売りする方法』(幻冬舎)でも触れていますが、私は現在の爆買いとそれをめぐる“から騒ぎ”を危険視しています。そもそもなぜ爆買いが起こっているのか。その理由を突き詰めて考えると、爆買いが長くは続かないことが見えてくるのです。
なぜ中国人旅行者は爆買いをするのか?
日本で爆買いをする中国人旅行者は、実は目的別にその客層を二分できます。
ひとつ目は「自分のために」爆買いをする富裕層。彼らは中国国内で価格、品質ともに満足できる品物が手に入らないため、日本に来て納得のいくモノをまとめ買いします。彼らのこだわりはただひとつ、「日本人のために作られた日本製品」であることです。
この中国人の日本製品への憧れを理解しきれず、中国市場で失敗したのが資生堂でした。資生堂が中国に初めて進出したのは1981年。当時はまだメイクをする人もほとんどいない中、改革開放路線が進む中国の女性たちへ、美しくなることへの意識改革を行いました。資生堂は北京市と技術協力協定を結び、工場を設置して、原料調達から製造までを中国で行う中国向けブランド「華姿(ファーツー)」を立ち上げて人気を博しました。
しかし、人気は長く続きません。中国国内で経済成長が進み、化粧品市場に他のメーカーも多く参戦するようになると、「華姿」の人気は衰え始めます。これは資生堂自体から中国人が離れていったのではなく、中国製の品物への不信感が広く社会に蔓延した結果です。
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