「爆買いバブル」が2017年までに崩壊する理由 なぜ中国人旅行者はあんなに買っているのか

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さらに、インターネット網が普及するにつれ、ECを利用する人が急増しています。それは中国国内に留まらず、海外のECサイト(越境EC)で買い物をする割合も急激に増えています。たとえば、日本のECサイトから購入した額は、2012年では1199億円だったところから、2014年には6064億円と、わずか2年で約5倍も伸びており、拡大のスピードを思い知らされます。

すなわち、生活必需品となったスマホを使ったECを行うことが日常的になれば、わざわざ爆買いするために日本に来る必要はなくなるのです。

爆買い以降も中国人旅行者に日本を選んでもらうために

それでは、もう爆買いバブルが崩壊していくことを指をくわえて眺めているしかないのかというと、決してそうではありません。爆買いはインバウンドのひとつの形態にすぎず、今後は違う形態に変化していくでしょう。

では、変化する形態とは何か。それは中国人旅行者のニーズ、需要にほかなりません。その形態を見誤ってしまうことが、最も致命的な間違いなのです。私たちが現状のまま中国人のイメージを変えずに接していては、爆買いバブルは終わりを迎えます。最も変えなければならないのは、中国人に対する私たち日本人の考え方なのです。

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たとえば、テレビで流れるニュースには、中国人の爆買いがもたらした人気商品の品切れや交通渋滞、旺盛な購買欲に対して、冷ややかな視点が感じられてなりません。宿泊施設が見つからずラブホテルに泊まる中国人までいるというニュースに、顔をしかめる日本人も少なくないでしょう。

私たちがすべきことは、相手を知ること、そして「日本式のおもてなし」で相手に喜んでもらうこと。中国人旅行者が日本に求めるモノを読み解き、誠実に迎え入れることです。それをするためには、受け入れる日本の側が感謝の心を持つ必要があるのではないでしょうか。

先日私が、中国の国営テレビ局である中国中央テレビ(CCTV)の取材を受けた時に聞いた話では、昨年1年間に海外旅行をした中国人は1億人にのぼる一方、その中で日本を訪れた人はたった499万人だったそうです。つまり、中国人旅行者のニーズを確実に捉えれば、その人数をさらに増やすことができると考えられます。

さらに、中国最大のオンライン旅行会社であるシートリップは、2016年の戦略として日本を最も重要な国として位置づけることを決めたというのです。これは追い風以外の何ものでもないでしょう。ですが、現状の一部の中国人旅行者相手にあたふたしているようでは、そのチャンスも棒に振ってしまいます。これからも外国人旅行者に訪れてもらえる日本であり続けるために、日本人の意識が変わることを願ってやみません。

坂口 岳洋 外国人旅行者誘致促進地域創生機構 理事長

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さかぐち たけひろ / Takehiro Sakaguchi

一般社団法人外国人旅行者誘致促進地域創生機構 理事長
1996年東京大学大学院理学系研究科物理学専攻修了、JAFCO(旧日本合同ファイナンス)入社。その後、ラティス・テクノロジー経営顧問、イノベーション・エンジンのベンチャーパートナー、筑波大学先端学際領域研究センター客員研究員など歴任。2009年衆議院議員総選挙に出馬し、衆議院議員当選。2015年から現職。国内外の人的ネットワークを生かしたインバウンドの推進と地域創生に携わる。

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