「多数決」で物事を決めるのはこんなに危ない 企業がめったにこの方法を取らない理由

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この会社のように多数決によって重要な意思決定をしている会社がほかにもあるかと言えば、かなり少ないのが実情のようです。

多数決を用いない理由

取材したあるマーケティング会社では、「会社の存亡をかけるくらい」重要な新規事業や新サービスであったとしても、そのサービス名やロゴについて社内で公募して候補を絞り込んだり、社内投票で決めるなんてことは絶対にしないと経営陣が明言していました。多数決を用いない理由として、社内とはいえ当事者ではない人の意見でビジネスの重要な意思決定をするリスクをあげていました。本来、ビジネス上の重要な意思決定においては、

・差別化の要素

・綿密な分析

などが必要。ところが多数決をとると周囲の意見に流されて、冷静な判断ができない可能性があります。さらに意思決定したあとにも問題が。多数決で決まった案だと本当にその案でよかったのか、それを任された責任者も確信できないままになり、結果的にうまくいかない可能性もあります。

こうした弊害があるから、企業は意志決定の場に多数決による「Yes or No」をあまり用いないのです。逆に言えば、多数決で物事を決める経営陣がいれば、責任回避あるいは情緒的な決断に流される可能性があると周囲は心配するべきでしょう。さて、こう考えると政治の世界でも国民投票で重要な事案を決するのはいかがなものかと思えてきませんか?

高城 幸司 株式会社セレブレイン社長

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たかぎ こうじ / Kouji Takagi

1964年10月21日、東京都生まれ。1986年同志社大学文学部卒業後、リクルートに入社。6期トップセールスに輝き、社内で創業以来歴史に残る「伝説のトップセールスマン」と呼ばれる。また、当時の活躍を書いたビジネス書は10万部を超えるベストセラーとなった。1996年には日本初の独立/起業の情報誌『アントレ』を立ち上げ、事業部長、編集長を経験。その後、株式会社セレブレイン社長に就任。その他、講演活動やラジオパーソナリティとして多くのタレント・経営者との接点を広げている。著書に『トップ営業のフレームワーク 売るための行動パターンと仕組み化・習慣化』(東洋経済新報社刊)など。

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